高知の祭り目次
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宵宮でまわる花台
水切り瓦の蔵
10月9・10日、吉良川町の御田八幡宮の秋祭りが行われました。 台風22号は高知県沖を北北東に向かい、祭り日和になったことが大層うれしく2日ともお祭り見物に行ってきました。 吉良川は古くから木材・薪・備長炭などを京阪神に移出、帰路は日用品などを移入するという、回船の交易によって繁栄してきました。 当時の繁栄を物語るように、水切り瓦のある白い漆喰壁の蔵がたくさん保存されています。
路地へ入ると、民家の周辺に「いしぐろ」と呼ばれる石垣塀がみられます。 海の近くで台風など強風から家を守るためのようですが、それぞれに美しく積み上げられ、落ち着いた雰囲気に浸ることができます。
蔵といしぐろ
壁に貼られたお札
いしぐろ
こうした吉良川の町並みは、平成9年には、重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けています。 また、町を歩いていると、家々にお札が貼られているのに気づきます。 みなさんの信心深さが偲ばれます。
だからでしょうか、御田八幡宮のお祭りには地区を上げての取り組みがされているようです。 行けばひしひしとその思いが伝わってきます。
東の川(旧道)を渡る花台
待ち時間
国道の橋を行く花台
「御田祭り」は、5月に隔年で開催されます。(今年はありませんでした) この祭りは、鎌倉時代の田楽や猿楽を今に伝えるもので、国の無形民族文化財になっています。
「秋祭り」は、毎年開かれますが、「御田祭り」のない年は、山車に手作りの「花」を飾ります。 今年も各家庭で作られた約2万本の花が華やかに4台の「花台」を飾りました。
蔵のある路地
お船御輿
9日の宵宮で祭りの幕開けです。 午後7時から花台の提灯に火が点されます。 重さ約1トンもあるその花台を30人の若衆が担ぎ、太鼓を叩き祭り唄を朗々と唄いながら境内を行ったり戻ったり。そして、「それっ、いくぞ〜!」の合図で豪快に回りはじめます。
猛スピードで回る花台。 光の渦。 観衆は歓声と惜しみない拍手を送ります。 これを、1台が3回、30分から40分。4台ですから2時間では終わりません。
熱心に見つめるひと
御田八幡宮境内
浜宮へ向かうお神輿
屋根や電線に引っかからないよう注意
吉良川町内には4つの若衆宿(上・東・下・西)があり、15歳になれば入れます。その4つの若衆宿から花台が出されるのです。 ピーク時からは、人口もぐんと減り、地元に居る若者も少なくなっています。
でも、暖かい人情と祭りの中で育った若者たちは、祭りのために帰郷するのが楽しみであるようですし、若いものには負けていられない少し前の若衆たちも張り切って祭りを支えているようです。 私の知人は、15歳のときには吉良川にいなくて、町へ帰ってきて40歳で若衆宿に入り最初からのお務めをしたそうです。
「ご利益」を求めて
「ご利益」をいっぱい戴いて
本祭りは、10日、昼から4台の「花」を飾った花台が「お船」御輿に先導されて町内を練って八幡宮へはいります。 神事の後、3台のお神輿に続いて花台も浜宮に旅します。 そこでの神事が終わった後、2万本の「花」は、「家内安全のご利益」を求めて集まった人に分けてくれます。
消えたローソクに火をつける
その後、八幡宮前に花台を移動させて一旦休憩。
夜7時から、再びの提灯の競演となるのです。 生まれ育った町を担い、祭りを父祖から子へ伝える、吉良川の男たちの熱気に、あなたも直に触れてみませんか。
麗
うまいっ!