高知の祭り

高知の祭り目次

HOME

前ページ

次ページ

高知県土佐市 宇佐八幡宮秋祭り(神祭) (H17.10.8〜9)



お旅所へ入るお神輿



長い参道の宇佐八幡宮


10月の第2土曜日から始まる連休は高知のあちこちは秋祭りがいっぱいです。

高知市桂浜から海沿いに西へ20キロ足らずの、土佐市宇佐町でも、この2日間、宇佐八幡宮の秋祭り(神祭)が行われました。


8日は「明日、神様がお出ましに成りますよ」というお触れでしょうか、大天狗さんが竜の矛(ほこ)を持ち高下駄を履いて、数十人の行列(お供・毛槍・うつぼ持ち・太鼓・棒打ちなど)の先頭に立って、ゆっくりゆっくり地区を練り歩きます。



この大天狗さん(矛と呼んでいます)の威厳は滅相なもので、目に触れるところにいる人は、道を横切ることは勿論、立っていることもご法度です。

10人もの天狗たちが、このご法度を犯すものがいないかと目を光らせながら、青竹を手に持って前触れをしてきます。


高下駄の大天狗「矛」



矛が行き過ぎるまでは立ってはなりません


「矛が来るき(来るから)座って! そこの人、横切ったらいかん、元へ戻って!」

そう、その昔の大名行列の

「下に〜〜! 下に!」

を思っていただいたらよろしいでしょうか。



このおきてを破って、横切って逃げる人がいたら、先払いの天狗がどこまでも追いかけて捕まえ、矛の前に連れて行き、土下座をして謝らせるというのです。


大名行列なら即座に無礼打ち、何十年か前までは青竹で打ち据えたということです。

矛が行き過ぎたら、立ち上がってもよいのですが、行列の途中を横切ることは許されません。


ちょっと、お遍路さん、横切っちゃダメだよ



太鼓打ちの合図で棒打ちです


所々で、女装の太鼓うちの合図で少年達の棒打ちが披露されます。

太鼓打ちはなぜか棕櫚の毛で作った大きくて派手なカツラを被って女装しています。


天狗たちがお太鼓の帯を結んだ上に注連縄をつけているのもなんとも面白い扮装です。

他の地域では見られない、真面目な時代考証からはちょっと離れた、楽しい遊び心が感じられます。



さて、一日目は、矛の一行は9時にお旅所である恵美須堂を出発、休憩を入れ、行列人が交代しながら、夕方5時過ぎまで町内を練ります。


それぞれの家では、思い思いに神祭を祝うことになります。


子供達の棒打ちは人気です



手押し車でやってきた保育園児


ギャー 怖い〜!!



お神輿をくぐる人、人、人



神官さんのほら貝

2日目は、いよいよ御神幸の日です。

この日も9時に矛の一行が恵美須堂を出発、宇佐八幡宮へ神様を迎えに行きます。

矛が到着した八幡宮では神事が行われ、12時にお神輿出御となります。

行列は、初日にプラスして、神官さん・お神輿・大太鼓・巫女などで、100人近い人数になりました。


お神輿をくぐってご利益をいただこうとあちこちでたくさんの人が座って待ち、くぐらせてもらい、行列は和やかに進んで行きます。

しかし、座って待つ人たちの最前列で、ランニングシューズを履いて身構えている若者、それを注意深く見据える天狗、「やれ!」とたき付ける観衆。

禁を犯して走る者への期待と緊張が高まります。


可愛い巫女さんたち



太鼓を引っ張るおじさん


「あっ」と思ったときには、脱兎のごとく路地へ逃げ去る若者をすぐさま天狗が追っかけるので、なかなか証拠写真が撮れません。

カメラマンといえども、立つことはできないのです。

それでもようやく、一人が走る姿を捉えることができました。



聞けば、走る人はおおむね陸上部の選手、天狗たちも高校生だというのですから、どちらも素早いはずです。


権力を嘲って禁を犯す庶民の逞しさを見るようで、なんとも愉快な風習でした。


あ、走った!



「横切ってごめんなさい」


さて、このようにして通りを巡り歩いたお神輿一行は、お旅所へ到着後、別の路地を通って八幡宮に帰ります。


お神輿を送った矛たちの一行が恵美須堂へ帰り着くのはもう暗くなった6時過ぎ、2日間にわたる宇佐八幡宮の秋祭りは終了しました。



          


 目次  TOP 前ページ 次ページ