高知の祭り

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高知県十和村 地吉八幡宮秋祭り (H17.11.1)



牛鬼



地吉(じよし)八幡宮

十和村へは、窪川町で国道55号から国道381号(山側)に入り、四万十川に沿って下流へと走ります。

下流へ、というと海側だから逆じゃないかという思いがしますが、四万十川は東津野不入山(いらずやま)の源流から南へ西へと蛇行し、196キロもの長い道のりをゆっくりと流れて中村の海に注いでいるのです。

窪川町は上流域、大正町・十和村へと進みますと、中流域と呼ばれる地域になります。


さてその中流域にある十和村。

アユとキノコとこいのぼりの里・十和村。

愛媛県境に近いこの村は、四万十川のほぼ中間部に位置しており、古来より狩猟や漁猟の、四万十川に依拠した暮らしをしてきています。

木材運搬の筏流し、火振り漁や友がけによる鮎などの漁業。

林野率91%の純山村で、椎茸の生産も盛んです。

4〜5月には新緑の山から四万十川を跨いでこいのぼりの川渡しがされることでも知られています。


夫婦杉



担ぎ手達の腹ごしらえ

その十和村の中心部・十川からさらに山手に入り、殆ど愛媛県境に近い地吉(じよし)地区に伝承される「五つ鹿踊り」を見に、11月1日に行ってきました。

道中、「古城」という地名があったことから、古は多くの人が豊かな自然の恵みを受けて暮らしていたのかと思いを馳せたことでした。

くねくねと狭い山道を走り、やがて到着した地吉八幡宮は「五縁の里公園」として整備された公園の中にありました。



準備された五つ鹿


境内の、推定樹齢750年を越える夫婦杉(根元から分かれて2本になっています)があります。

大きいほうの杉は、樹高60メートル、幹回り8.35メートル、小さいほうは樹高55メートル、幹回り4.75メートルあるそうで、高知県の天然記念物に指定されています。


頭をつけて身支度中



ひょうげ役

昼を過ぎる頃からだんだんと人が集まってきます。

神殿では神事が始まり、神輿や牛鬼の担ぎ手にご馳走が振舞われ、踊り手たちは衣装をつけ始めました。

そのうち、ひょうげた面のおじさんが箱を担いで、前にぶら下げた大きなものを面白おかしく見せながら境内の一人ひとりに近寄っていきます。

このおじさんの周りは笑い声が絶えず、箱の中にはお金がいっぱい入っていきました。


1時半、牛鬼が先導し、お神輿がお旅所へ出発です。

鳥居を出ると急斜面の階段を下りて、お旅所へ行きます。

地元の方の話では、ここしばらくお旅所まで行くことがなかったとか。

今年は随分頑張っていたようです。

お旅所から帰ってきて神輿が神殿に入ると広い境内で「五つ鹿踊り」がはじまりました。


きつい坂を行くお神輿



五つ鹿踊り



太刀踊り

雌鹿1頭と雄鹿4頭が、1頭の雌鹿を奪い合って踊るものです。

踊りは優雅なもので、太鼓に合わせて自ら歌いながら踊ります。

高知県では鹿の踊りはあまりありませんが、愛媛県境に近いだけあって、文化的には伊予の国の影響が大きいとか。

「鹿の踊り」や「牛鬼」は伊予の国の文化のようです。


そのあと大きな円陣で太刀踊り、花取踊りが踊られました。

2〜3歳の女の子が、周りの大人を見ながら一生懸命に踊っている姿がなんともほほえましく可愛く、目はこの子にひきつけられました。

過疎の村とはいえ、こうした地域文化の中で子供達は育っており、高齢の方からも伝統の祭を守っていく強い気持ちが伝わってきて心が熱くなりました。


花取り踊り



牛鬼と遊ぶ子供達


ところで、こんな山奥なのに、標高が87メートル(庁舎所在地)だとか。

信じられないです!

この地から海まで100キロもの道のりの落差が80メートルそこそこというゆるい勾配を流れ続ける四万十川。



ゆるい勾配をゆっくり流れるために、川の自然浄化力が弱いとか、美しい四万十川を守るために、生活排水の浄化に流域の十和村も力を注いでいるとのことです。



            麗


2003年5月のこいのぼり


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