高知の祭り目次
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木漏れ日の射手
星神社への鳥居
鼻先がジンジン痛くなるような寒さの中、9時頃に現地に着きました。 杉の大木に守られるかのように鳥居があり、きつい石段をようやく上がっていくと、既に神殿では神事が行われており、カメラマンの三脚がずらりと並んでいました。 もともとは「観音堂」の「毘沙門祭」であったのが、星神社の弓祭りとして現在に至っているとのこと。同じ境内に「観音堂」と「星神社」が建っていました。
観音堂
弓祭り次第
役員さんや来賓の方々
起源は古く、西暦912年といわれています。 今を遡る1000年もの昔の平家の落人たちによるものとのことです。 高知県のあちこちの山間部に伝わる伝統の祭りに共通するのは「1000年もの昔の平家の落人」にあるように思います。 この「お弓祭り」は高知県の無形民俗文化財に指定されており、悪魔退治と五穀豊穣を祈願するお祭りです。
勢ぞろい
さて、このお弓祭りの射手に選ばれた12人(一家を担う長男、今は厳密ではないそうです)は、日頃から弓の練習をするのは当然として、元旦の未明から8日まで、毎朝、真っ暗いうちから、神社の下の谷川で禊(みそぎ)をしてこの日を迎えるそうです。
狙う
6人の射手が順番に射る
「極寒の時期の谷川での禊(みそぎ)は泣きそうじゃった。 そんなとき周りの大人に“後は温うなるき”といわれたが、そりゃそうよ、あれより冷いものはないきねえ。 あれに比べりゃあ、なんじゃち温いわねえ」 と、数十年昔を思い出しながら話してくれた方もいました。
10時、弓場に勢ぞろいした射手はじめそれぞれの役目の人が定位置につき、神事としての「三度弓」が始められます。 始めるにあたり「境内にいる人は皆帽子を脱いでください」とのアナウンスがありました。 一介の見物人であっても、神聖な場所での神聖な儀式であることを改めて感じます。 (「三度弓」が終われば、帽子も可です。)
矢は放たれた
祝う表現(練る)
やがて、技を競い合う弓がはじまりますが、矢は「1008筋」といって1008本射られます。 12人の射手が半分に分かれ、1回に付き2本で交代し、42回出場して、それぞれ84本の弓を射るわけですから、延々と夕方まで続きます。
見事に的中した射手には、だれかれからの懸賞のお祝儀(布)が贈られ、その家の代表者を射場に引っ張り出し、もみくちゃにする(練るという)などして喜び合うのも面白い風習です。
コップ酒のおじさん
桟敷の後は接待役の方たち
最後に「毘沙門の的」というのがあり、「毘沙門祭り」として締めくくられるようです。 寒さと「禊」の話に、身の引き締まる思いがしましたが、最後まではいられなくて途中で帰ってきました。 次回のお弓祭りは、2006年になります。 麗