西国三十三所
結縁御開帳 巡拝の旅

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西国三十三所結縁御開帳 巡礼の旅その9 (H21.10.24〜25)


正法寺本堂

昨年9月28日に始めた西国三十三所の巡拝も丸1年、9回目となりました。
観音様のお手に繋がった五色の紐に触れ、慈愛に満ちたお姿に間近に接し、ご縁をいただいてきました。

いまさらながらに、花山法王遠忌一千年の今日に生き合わせ、秘仏のご開帳に行き合わすことのできるありがたさをかみしめています。
10月。暑からず寒からず。紅葉がきざし始めた秋の日に、心穏やかに巡拝して参りました。

第12番 岩間山 正法寺(しょうほうじ)

第12番 岩間山 正法寺(しょうほうじ)

住 所 滋賀県大津市石山内畑町82

ご本尊 千手観世音菩薩


開 基 泰澄大師

御詠歌 水上は いづくなるらん 岩間寺 岸うつ波は 松風の音




ボケ封じを祈る人


岩間山は滋賀県大津市と京都府宇治市の境にあり、正法寺はその中腹にあります。


第四十四代女帝元正天皇の三十三歳の大厄の病を泰澄大師が除いたことに始まる元正天皇の勅願寺院で、ご本尊の千手観世音菩薩は元正天皇のご念持物であったもの。

約15センチの金剛仏で、毎夜、衆生済度に駆け巡り明け方には汗びっしょりになられているとか。

「汗かき観音」「雷除観音」「厄除観音」などとも呼ばれています。




ご本尊は秘仏で、平成2年以来19年ぶりのご開帳。その前は360余年秘められていました。


今回の特別御開帳は、平成21年10月17日〜11月30日と、平成22年4月17日〜5月17日までです。

また、本堂から不動堂へ続く廊下から見える池は、「古池や蛙とびこむ水の音」の池だそうで、芭蕉池と呼ばれています。


正法寺大師堂の前の大銀杏


仏の言葉豆知識

日つねに照らして自らその恩を知らず。水つねに潤して自ら徳とせず

・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

太陽は生きとし生けるもの全てに光り輝き、水はその潤いを満たす。

しかし、万物にどれだけの恩恵をもたらしているか知っているわけではない。

ただ、自分の特性に随って為しているのである。人の行いも同じ。

決して恩着せがましく他人にしてはならない。させて頂く喜び、喜んで頂ける幸せを心に持っていたいものである。

第13番 石光山 石山寺(いしやまでら)

住 所 滋賀県大津市石山寺1丁目1−1

ご本尊 如意輪観世音菩薩

開 基 良弁僧正

御詠歌 後の世を 願うこころは かろくとも 仏の誓い おもき石山


石山寺大門



硅灰石の巨岩と多宝塔


瀬田川のほとりに広大な境内が広がる石山寺は歴朝の尊崇あつい由緒ある寺院。


奈良・平安・鎌倉期の建立による本堂・多宝塔・鐘楼・大門などをはじめ、立派なたくさんの堂塔が四季の花々とともに広い境内に配置されています。

また、あちこちに巨大な奇岩がありますが、これは硅灰石からなる天然記念物で、寺名の由来となっています。



国宝・本堂の中には紫式部が「源氏物語」を執筆したといわれる源氏の間があります。

ご本尊は秘仏で、今回の特別御開帳は、平成21年9月〜11月ですが、次回ご開帳は2016年が予定されています。


源氏の間と紫式部

仏の言葉豆知識

医王の目には途に触れて皆薬となり。解宝の人は鉱石を宝石と見る

・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より


名医は道端の草が全て薬と見え、宝石を見分ける人は鉱石の中から宝石を見つけ出す。

そういう風でない人は、自分が努力をしていないからそうなのである。本質を見極める目を持つことが必要。

つまり、人の上に立つ人は、まず自分を磨くことが大切である。


第14番 長等山 園城寺(おんじょうじ)

住 所 滋賀県大津市園城寺町246

ご本尊 如意輪観世音菩薩

開 基 大友与多王

御詠歌 いで入るや 波間の月を 三井寺の 鐘のひびきに あくる湖



園城寺仁王門(2009.4撮影) 


旅程が朝から少しずつ遅れ、園城寺へバスが到着したのは内拝時限ぎりぎりの16時になっていました。

団体での内拝予約ということで入れてもらえるとはいうものの、仁王門から西国14番札所の観音堂まではかなりの距離、ひたすら大急ぎで上りました。



園城寺は天台寺門宗の総本山で、古くから日本四箇大寺のひとつとされています。


俗に「三井寺」と呼ばれるのは、天智・天武・持統天皇の産湯に用いられた霊泉があり、「御井(みい)の寺」の厳儀・三部潅頂の法水に用いられたことに由来するとか。

俗称のほうが耳慣れているような気がするのは私だけでしょうか・・。


園城寺金堂



三井の晩鐘


近江八景「三井の晩鐘」で親しまれている金堂の前の鐘は、音色のよいことで知られ、古来、形の平等院、銘の神護寺ともに「音の三井寺」として日本三銘鐘のひとつにも数えられています。

平成8年には「残したい日本の音風景百選」に選ばれています。

ご本尊は秘仏でご開帳は33年ごと、今回は31年ぶりで、平成21年10月3日から11月末日までと、平成22年3月17日〜4月18日までご開帳されます。

仏の言葉豆知識 「色即是空 空即是色」・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

物質的存在は原因と条件によって変化する。変化するから物質的存在でありうる。

原因と条件により変化するということは、存在には不変の実体があるのではないということで、これを空という。

実体がないという立場においては、老死もなく、苦集滅道もなく、知ることも得ることもない。空の立場による智慧の完成に安んじて人は永遠の平安に入る。


宿泊は湖東・八日市にあるホテルでした。


「ここは、日本のど真ん中」などと思いながら、いつの間にか眠っていました。


西国14番札所・観音堂


第32番 繖(きぬがさ)山 観音正寺(かんのんしょうじ)

住 所 滋賀県蒲生郡安土町石寺2番地

ご本尊 千手千眼観世音菩薩

開 基 聖徳太子

御詠歌 あなとうと 導きたまえ観音寺 遠き国より 運ぶ歩みを



観音正寺への参道


参道の石段が1200段もある観音正寺は、西国最難所といわれます。


私たちはかなり上までタクシーで上がり、下車してから数分歩いて到着しました。

こちらではお仁王様が露天で門を固めておいででした。

当寺は平成5年に本堂もろともご本尊も焼失、11年の歳月を経て、平成16年にご本尊の開眼法要がされました。



貴重なインドの白檀で作られた観音様は、千本の手が光背となり、あたりはいい香りで包まれていました。

ご本尊は毎日御開帳されています。今回は、ご本尊の胎内秘仏がご開帳されます。


平成21年9月〜11月、平成22年4月〜5月です。


観音正寺の仁王様



観音正寺本堂


仏の言葉豆知識 「冥の照覧」  ・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

近年、傍若無人な行為が目立つが、まだまだ一般的には、人目を気にするのが普通だ。

その人の目のあるところでは、することなすこと、みなそれなりに慎んだものになる。

しかし、人目をはばからないところでは、どうか。

人の視線が届かない心の中は、どうなのか。正直に言って思いは乱れる。

が、それを見透かす神仏の目(冥の照覧)がある。


31番 姨綺耶(いきや)山 長命寺(ちょうめいじ) 

住 所 滋賀県近江八幡市長命寺町157番地

ご本尊 千手十一面聖観世音菩薩三尊一体

開 基 聖徳太子

御詠歌 八千年や 柳に長き命寺 運ぶ歩みの かざしなるらん



長命寺への808段の石段


観音正寺の1200段には及びませんが、こちらは本堂まで808段です。

途中まで車道があるのでタクシーで行くことができます。

自家用車も行くことはできますが、道は狭く駐車場が限られているので、先に行った自家用車が下りてこない限り上がっていくことはできません。



そして下車してから本堂まで185段です。

ということは、623段分をがんばって歩いて上がるか、車の中でひたすら気長に待つか、思案のしどころというわけです。


長命寺本堂



長命寺三仏堂


ところで、当寺はその名の通り健康長寿、無病息災を授けて下さるといわれています。


昔、武内宿禰(たけのうちすくね)が柳の巨木に「寿命長遠所願成就」と記し300歳の長寿を保ち(そんなことはあり得ないでしょう!)、六代の天皇に仕えたとか、これが当山の開闢だそうです。丈夫で長生きしたいものです。

ご本尊は三体本尊、秘仏で今回の特別ご開帳は、10月1日から末日まででした。


仏の言葉豆知識 「三帰五戒」  ・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

仏と、その教えである法と、仏につかえ法を伝える僧とに帰依することが三帰である。

殺生をしない、盗みをしない、淫らな行為をしない、嘘をつかない、酒を飲まない、の5つが五戒である。

三帰五戒」は在家者が仏教徒であることの基本であり、仏教信仰の実践の道であり、自分のためばかりでなく、近親者や他者をも利する慈悲の道である。


番外札所 華頂山 元慶寺(がんけいじ)

住所 京都府京都市山科区北花山河原町13

本尊 薬師如来

開基 遍昭僧正(六歌仙の一人・深草の少将のモデルとも)


花山法皇が落飾(出家)されたお寺。


西国の番外札所。

こじんまりした境内ですが、たくさんの草木がよく手入れされていて、四季折々の花が楽しめます。

今回は、早くも万両の実が美しく色づいて、季節の豊かさを醸していました。


元慶寺


元慶寺のセンリョウ


花山法皇は、永観2年
(984年)、17歳で皇位につき、荘園の整理・廃止、銭貨の流通の活性化など、政治に新風を吹き込んで行きました。

皇太子、懐仁(かねひと)親王の外祖父、藤原兼家は、花山天皇を早く退位させて皇太子を天皇にし、実権を握ろうと機を伺っていました。


花山天皇が帝位について2年後、最も寵愛していた後宮の女御が懐妊中に死にました。

兼家は、息子の道兼をつかって悲嘆に暮れている天皇を言葉巧みにだまして出家させてしまいました。

その地がここ、元慶寺です。

落飾後の花山法皇は、石川寺の仏眼上人、書写山の性空上人について仏道に励み、西国観音霊場の巡拝を再興されました。

今年はその花山法皇の没後一千年の遠忌にあたります。

次回は11月7日〜8日、三室戸寺・今熊野観音寺・上醍醐寺・四天王寺を巡拝予定です。

                        


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