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善峯寺の白萩
5月1日以来、4ヶ月ぶりの巡拝再開です。 長く続いた日照りや、雨降り・集中豪雨。 日本列島各地が厳しい気候に呻いた夏でした。 空が秋の雲に変わり、涼しい風が心地よくなった9月5日、8回目の巡拝に行ってきました。
第20番 西山 善峯寺(よしみねでら) 住 所 京都府西京区大原野小塩町1372 ご本尊 千手観世音菩薩 開 基 源算上人 御詠歌 野をもすぎ 山路にむかふ 雨の空 よしみねよりも 晴るる夕立
善峯寺山門
洛西の竹林を左右に見ながら、小原野のくねくねと続く道を上っていきました。 1029年開山の善峯寺は、応仁の乱で兵火にあい、江戸時代、徳川5代将軍綱吉の生母・桂昌院が復旧されたそうです。 高い境内からは京都市街が一望でき、3万坪という広い境内には多数の立派な堂塔が配置されています。
また、多宝塔の前には、「遊龍の松」と呼ばれる樹齢600年の五葉松があり、全長およそ40メートルの枝を龍のように這わせ伸ばしています。 ご本尊は毎月第2日曜日に御開帳されていますが、今回の特別御開帳は9月1日〜10月31日と、平成22年4月1日〜5月31日までです。
遊龍の松
仏の言葉豆知識 「盂蘭盆」・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より インドで古くから行われていた先祖のお祭りを“ウランバナ”という。 この風習がわが国にもたらされ「盂蘭盆」と表記され、「盆」または「お盆」と略称されるようになった。 日本の盆行事は、推古天皇14年(606)に始まったとされ、その後仏教の隆盛につれ、送り火・盆踊り・里帰り・墓参など、わが国独自の行事が組み込まれ、先祖との心の交流を持つ日となったのである。
第21番 菩提山 穴太寺(あなおじ) 住 所 京都府亀岡市曽我部町穴太東ノ辻46 ご本尊 聖観世音菩薩 開 基 大伴古麿 御詠歌 かかる世に 生まれあふ身の あな憂やと 思はで頼め 十声一声
穴太寺仁王門
穴太寺の聖観音像は「身代わり観音」の伝説で知られています。 昔、丹波国桑田郡の郡司をしていた男は、都の仏師に依頼して聖観音像を造り、仏師には褒美として自分の大切にしていた名馬を与えた。 しかし、与えた名馬が惜しくなった男は、家来に命じて仏師を弓矢で射て殺してしまった。 ところが、後で確認すると仏師は健在で、観音像の胸に矢が刺さっていた。改心した男は仏道を信じるようになったという。
また、本堂内の木造涅槃像は「病気平癒のなで仏」として名高いそうで、参拝者が、被せられた布団の下に手を差し込んで触りまわる様子は、ちょっと驚きました。 ご本尊は秘仏で、27年ぶりとなる今回の特別御開帳は、平成21年9月中と平成22年5月中です
穴太寺本堂
仏の言葉豆知識 「三法印」・・・・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より 三法印とは仏教のスローガン(旗印)ともいうべきもので、根本的な教えとして 「諸行無常=あらゆる現象(諸行)は移り変わる(無常)」 「諸法無我=すべての存在(諸法)は実体として存在する我をもたない(無我)」 「涅槃寂静=悟りの世界(涅槃)は安らかで平静(寂静)」 の3つを説いている。 『平家物語』冒頭の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の一節は有名。
今回の宿泊は吹田の万博公園です。 40年ほど前の万博を思い出し、緑豊かな公園の中に以前と同じ姿を見せている太陽の塔を、ホテルの窓から見たことでした。
第22番 補陀洛山 総持寺(そうじじ) 住 所 大阪府茨木市総持寺1丁目6番1号 ご本尊 千手観世音菩薩 開 基 中納言藤原山蔭卿 御詠歌 おしなべて 老いも若きも 総持寺の ほとけの誓い 頼まぬはなし
山蔭卿の父・越前守高房が大宰府へ下向の途中、漁師らに捕らえられた巨亀を助けたところ、翌日、誤って水中に落ちた幼い山蔭がその亀に助けられたという。 数十年後、父君の遺志をついだ山蔭卿が千日かけて仏師に彫らせたのがご本尊・亀に乗る観音様だという。
総持寺山門
総持寺本堂
この観音様は、織田信長の兵火にあって総持寺の堂塔がすべて灰になったときも、少し焦げただけであったため、火防観世音と仰がれています。 ご本尊は毎年4月15日から21日までの1週間で、今回の特別御開帳として平成21年9月中、平成22年5月中も御開帳されます。
仏の言葉豆知識 「挨拶」・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より 禅の修業において、悟りの深さや修行の程度を試すために問答を仕掛けることを挨拶という。 転じて安否・慶弔・感謝、または天候・季節感などを表す儀礼的・親愛的な言葉や動作を意味するようになった。 その良い「しきたり」が失われつつあるが、「オアシス」ぐらいは、ぜひとも実行してほしいものだ。 オハヨウ、アリガトウ、シツレイシマス、スミマセン
第24番 紫雲山 中山寺(なかやまでら) 住 所 兵庫県宝塚市中山寺2丁目11−1 ご本尊 十一面観世音菩薩 開 基 聖徳太子 御詠歌 野をもすぎ 里をもゆきて 中山の 寺へ参るは 後の世のため
中山寺は古来より安産の寺として信仰されてきたとか。 若い夫婦や赤ちゃんを抱いた家族連れで大賑わいでした。 妊婦さんや赤ちゃんを抱いた人は、足元が見づらくて階段は辛いですが、そのためでしょう、本堂への階段横にはエスカレーターが設置されていました。
中山寺仁王門
本堂へのエスカレーター
また、中山寺境内には「石の櫃(からと)」と呼ばれる6世紀後半に建造された古墳(貴重な文化遺産)が残されています。 ご本尊は毎月18日に御開帳されています。今回の特別御開帳は平成21年9月中、平成22年5月中ですが本堂での内拝はできません。
仏の言葉豆知識 「能変の心・所変の境」・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より 私たちは、主観の心が客観の対象(これを境という)をこれこれしかじかだと判断する、と思っている。 が、客観とはいえ、それは私たちの心によって何ほどかデフォルメされた対象なのだ。 それぞれの経験や自分の都合、好悪や問題意識の濃淡が違うから、同じものを見ても、同じ印象や判断にならない。 そこで、単に心や境ではなく、「能変の心・所変の境」という。
次回は10月24日、琵琶湖周辺の6ヵ寺を巡拝予定です。 麗
古墳・石の櫃