高知の祭り

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星神社・お弓祭り 高知県北川村 (H19.1.8)


射頭を務める青年



たくさんの人が集まりました


1月8日、北川村木積の星神社で、五穀豊穣・悪魔退散を祈願して「お弓祭り」が行われました。

このお弓祭りは、2年に一度西暦奇数年に行われており、高知県の無形民俗文化財に指定されています。

起源は古く、延喜12年(西暦912年)とのことですから、1100年近い歴史を持っています。



嘗ては、木積・和田・島の3地区で順番にお弓祭りを行っていたのですが、今ではここ木積だけが残り、2年に1回行われるようになりました。

村の射手12人は、元日の朝から神社の下を流れる奈半利川で禊を続けて祭りの日に備えます。

厳寒の時期の谷川での禊は、聞いただけでも身の引き締まる思いがします。

谷川での禊に比べたら他のどんなものでも暖かく感じるのではないでしょうか。


祭次第



星神社


前回11歳で射手を務めた少年は、今回も最年少ながら、大人並の身長と凛々しさを具えるまでに成長し、前回から2年という時の経過を思わずにはいられませんでした。


そして今回、新たに14歳の少年が初参加、十代の少年5人を含む13歳から43歳までの12人の射手は若々しい力と品位に満ちています。



8時からの本殿での神事が終わり、9時すぎに、射場入り、儀式としての「三度弓」「神頭の矢」「雁股の矢」が行われます。


ここまでは、厳かな儀式ですので、境内にいるものは見物人に至るまで全員帽子を脱ぎます。

これが終われば射手に「吸物膳」が振舞われ儀式としての弓が終わります。


中央が最年少13歳の少年



射手は片肌脱ぎです

帽子着用が許され、「初的」(榊の枝に赤い布と天狗の面をつけた的を射る)、「千八筋(せんやすじ=1008本の矢)」と、射手の技を競う弓射が始まります。

弓の作法は、大きく身を反らせたあと前かがみの姿勢で的を狙うというもので、そのしぐさは非常に優雅です。

一族の代表として射手になった若者を、後見人が傍らで世話をし、後方では家族や友人が応援します。

何があっても一喜一憂の表情を全く顔に出さない射手と違って、応援団の賑やかなこと!



昔は家の跡取りの男子しか射手になれなかったそうですが、今ではそうも言っていられないようで、資格はかなり緩やかなようです。


さて、技を競う千八筋では、的に賞品(主として布一反)が賭けられます。
この賞品は誰でも提供できます。

見事に的を射抜いたときには、賞品をゲットできるのですが、12人の射手は全員相当練習をしてきたらしく、なかなか上手で、時には、一反の布を11に切り分けるという事態にもなりました。


喜びの表現「練り」



「割り膝」


また、的差配(的に関する世話係)が的中の賞品を運んで行っては家族を射場に引っ張り出し、もみくちゃにして喜びを表現する「練り」も頻繁に行われ、進行は遅れがちになりました。


千八筋のあとは、「ナマヤ」「割り膝」「投げ出し」と続き、最後は「毘沙門の的」です。



神社と同じ境内にある観音堂の僧職が用意した三重丸の的を「主川(おもがわ)」「谷川(たにがわ)」で得点を競い合い、その年を占うもので、これによってお弓祭りは終了します。


(「谷川」が勝つとその年は縁起が良いということですが、「主川」が勝てばどうなのかは言っていません。「主川」が勝って当たり前、「谷川」が勝つと予想外にいい事が起ると言うことでしょうか。そういえば、「主川」には射頭はじめ経験豊かな射手が揃っていたようにも思います。)


「投げ出し」



観音堂


この日は比較的暖かい上天気でしたが、祭りが終わる4時半頃には鬱蒼とした境内はしんしんと冷えてきました。



        

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