西国三十三所
結縁御開帳 巡拝の旅

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西国三十三所結縁御開帳 巡拝の旅その2 (H20.10.11〜12)


ライトアップされた和歌山城


暑からず寒からず、天は高くて、最高の季節。

高知のあちこちで伝統ある秋のお祭りが目白押しの10月中旬の連休に、遠路はるばるバスに乗って旅するなんて、なんと勿体無い、などとは言ってはおられません。

何せ、三十三所こぞっての結縁御開帳は今しかない。
「また次の行ける時に」というわけにはいかないのですから。

第2回目の今回は、和歌山方面への2日間の旅です。
11時、徳島港からフェリーに乗船、船内には高野山へ向かうお遍路さんが大勢いました。

ベタ凪ぎの海。
2時間の乗船で、ちょうど良い昼食タイムでした。



第2番 紀三井山 金剛宝寺

第2番 紀三井山 金剛宝寺(こんごうほうじ)

住 所 和歌山市紀三井寺1201

ご本尊 十一面観世音菩薩

開 基 為光上人

御詠歌 ふるさとをはるばるここに紀三井寺 花の都も近くなるらん



金剛宝寺(紀三井寺)楼門


和歌山港からバスで10分の近さにあります。
金剛宝寺というよりは、紀三井寺のほうがピンときます。

山内から湧き出す3つの霊泉(清浄水・楊柳水・吉祥水)から、(紀州の、三つの井のある寺)紀三井寺と呼び親しまれています。

長い石段は「右側通行」の指定があり、「境内は左側通行」に慣れ親しんできたので少し戸惑いました。



本堂で西国勤行次第を唱和し、50年に一度しか開扉されないという為光上人手彫りの秘仏に対面させてもらいました。


汚れた空気と光によって劣化の恐れのある貴重な木造秘仏を、敢えて世情混沌の今、御開帳する33所霊場会の決断に思いを致したい、そんな厳粛な気持ちになったことでした。


金剛宝寺本堂



大千手十一面観音菩薩


当寺には、数百年の歴史を持つ楼門や仏像など国の重要文化財8件のほか、新仏殿のご本尊として平成20年5月落慶法要が行われた、日本最大の木造立像仏、総漆金箔寄木造・大千手十一面観音菩薩がまばゆい光を発しておられました。


仏の言葉豆知識「縁起」 ・・・・・ 「西国巡礼 慈悲の道」より

仏教では、「縁起」を大切にし、特に寺院では、その寺の本尊や開基にまつわる縁起を尊ぶ。

醍醐寺縁起など文書で伝わるものから、粉河寺縁起などの絵図で伝わるもの、また、信仰の対象になる清水寺、紀三井寺参詣曼荼羅などがある。


第3番 風猛山 粉河寺

第3番 風猛山 粉河寺(こかわでら)

住 所 和歌山県紀の川市粉河2787

ご本尊 千手千眼観世音菩薩

開 基 大伴孔子古(おおとものくじこ)

御詠歌 父母の恵みも深き粉河寺 仏の誓ひ たのもしの身や



紀三井寺からバスで約1時間、紀仙郷自然公園の中にある粉河寺は、小川沿いの参道を行き、先ず朱塗りの立派な大門(1706年建立・総欅造の三間楼門)に圧倒され、続いて中門、本堂へと続きます。


粉河寺大門



粉河寺中門


当寺では、ご本尊開帳のしきたりはないとかで、「千手堂」の本尊・千手観音が開帳されていました。



秘仏中の秘仏ということでしょう。

通常、本尊が秘仏の場合は「お前立ち」と言って、別の仏像がおられるとのことです。


粉河寺本堂



仏の言葉豆知識「慈眼視衆生 福聚海無量」 ・・・・・ 「西国巡礼 慈悲の道」より

観音経締め括りの有名な言葉である。観音さまは慈しみの眼、即ち温かい眼、やさしい眼で私たち(一切衆生)を見守っていてくださる。

それ故に、心から観音様を信仰される人たちの身の上に、万一不時災難が振りかかろうともすべてを救いとり、海の水のように、限りなく幸せをもたらしてくれるのである。





翌朝も綺麗な秋の雲


1日目はここまでで、和歌山市内のホテルに宿泊。


ホテル前の道を隔てて和歌山城がありました。

8代将軍吉宗のふるさと、徳川御三家のひとつとして長い歴史を刻んだ和歌山城が手を伸ばせば届きそうな距離にあり、ライトアップされた美しい姿に感激しました。


第4番 槙尾山 施福寺

第4番 槙尾山 施福寺(せふくじ)

住 所 大阪府和泉市槙尾山町136

ご本尊 十一面千手千眼観世音菩薩

開 基 行満上人

御詠歌 深山路や 檜原松原わけ行けば槙の尾寺に駒ぞいさめる



きつい参道です・迎え観音


施福寺参道にある弘法大師剃髪所跡


混雑を回避するため、予定より30分早く出発、和歌山を後にしました。

バスを降りて鬱蒼とした急坂を1キロほど上がったところが施福寺です。



ここは弘法大師が出家・得度されたところで、剃髪した所とか、その髪をまつってあるお堂がありました。


ご本尊は毎年5月の前半にご開帳されます。

花山法皇足守の馬頭観音は足腰を守るとか、たくさんのわらじのお守りが奉納され、また、方違(かたたがえ)大観音は、転勤 転職 旅行 結婚等の厄除になるということです。


施福寺本堂



奉納されたわらじ守り


また、当寺は納経の寺とか。用意していた写経を納めました。


納経といえば、お四国に続いて写経を持参していましたが、納めるところがなかなか見つからなかったり、某寺では、写経を納めるのに2千円とあったこともあり、以後は写経を持参することは止めようと思ったことでした。


仏の言葉豆知識「方便」 ・・・・・ 「西国巡礼 慈悲の道」より

「ウソも方便」という言葉はよく聞く。ウソでも目的を達成するための一つの手段になるということ。

お釈迦さまは私達を悟りの境地に導く方法として種々な仮の手を使った。

例えば法華経には、七つの喩話の一つに「三車火宅」のたとえがある。

長者の家が火事になったとき、夢中で遊んでいた子供達に、羊の車・鹿の車・牛の車を買ってあげるといって助けたのである。



第5番 紫雲山 葛井寺

第5番 紫雲山 葛井寺(ふじいでら)

住 所 大阪府藤井寺市藤井寺1丁目16−21

ご本尊 十一面千手千眼観世音菩薩

開 基 行基

御詠歌 参るより頼みをかくる葛井寺 花のうてなに紫の雲



バスは大阪中心部へ向かい、藤井寺市へやってきました。


ふじい? くずい? と密かに悩んでいましたが、「葛井寺」と書いて「ふじいでら」と読むと教えてもらい、安堵しました。


葛井寺前のだんじりと記念撮影



葛井寺本堂


ところで、到着した葛井寺の前には「だんじり」がいるではありませんか!


祭り好きは私だけではなかったようで、だんじりの前で記念撮影する人もいて、今回の巡拝最後のお寺であることも手伝ってか、ウキウキソワソワです。




国宝のご本尊開帳は毎月18日。

手の数は千本を越しており、ひとつひとつの手のひらには眼が彫られています。


どの仏様も大抵は伏目ですが、実は何もかも見ていらっしゃるということなのでしょうね。

お寺から出てくると、ちょうど、だんじりが出発するところでした。


             


出発です


仏の言葉豆知識「衆生」 ・・・・・ 「西国巡礼 慈悲の道」より

これは「生きとし生けるもの」と翻訳されるが、まさに命あるものすべてを意味する。

もうこれだけで充分だが、念のために「一切衆生」ともいう。

その命あるものは皆、仏の世界とどこかでつながっている、と考えるのが仏教の根幹だ。

すべてのものに価値を見い出していこうとするこうした考え方こそ、今、強く求められているものだと思う。

                               


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