西国三十三所
結縁御開帳 巡拝の旅

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西国三十三所結縁御開帳 巡礼の旅その4 (H21.3.14〜15)


花便りの季節になりました


12月頃は、平年並みの寒い冬が来たようだと安堵しましたが、2月になると間断ないお湿りで、まるで春の「芽出しの雨」のありさま、ぽかぽか陽気で花は咲き急ぎ、桜の開花宣言は先を競い合っています。

12月から2月までは特別御開帳の寺院は少なくて待機、3月14日、久しぶりの巡拝の旅に行ってきました。

第33番 谷汲山 華厳寺(けごんじ)

第33番 谷汲山 華厳時(けごんじ)

住 所 岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23

ご本尊 十一面観世音菩薩

開 基 豊然(ぶねん)上人


御詠歌 世を照らす仏の験(しるし)ありければ まだ灯も消えぬなりけり・・現在
    万世の願ひをここにおさめおく 水は苔より出る谷汲・・・・・・・・過去
    今までは親と頼みし笈摺を 脱ぎて納むる美濃の谷汲・・・・・・・・未来




華厳寺山門


西国三十三所満願所の華厳寺。

ご本尊は、秘仏で、今回御開帳されるのは3月1日から14日までの2週間。

その最終日とあって混雑が予想され、バスは高知を朝6時半に出発、昼食はお弁当を大急ぎで食べるなど、時間を切り詰めて華厳寺に到着したのは14時半でした。



満願堂の奉納物



霙の降る寒い日でしたが、長い参道や、本堂・満願堂・笈摺堂は参拝者で大賑わいでした。


霙の中の参拝者(正面が本堂)



春を告げるショウジョウバカマ



西国巡礼中興の祖といわれる花山法皇がここを西国三十三所満願所と定め、三首の御詠歌を奉納されたことから、本堂(現在)、満願堂(過去)、笈摺堂(未来)と、三つの御朱印をいただけるようになっています。


本堂・満願堂・笈摺堂の参拝を終えて下山する足元にはショウジョウバカマが咲き始め、かわいい春の訪れでした。


仏の言葉豆知識

同法よ、童子を打たずんば我がために大恩なり」・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

子供は年長者の言うことを理解できないこともあろうし、言いつけを守れないこともあろう。そんなとき、罵られたり暴力をふるわれたなら、いじけたり反抗的にもなるだろう。

人格形成に大切な家庭を離れて叡山に登った、法を受け継ぐ宝である童子。

「童子打つなかれ」は叡山仏教の将来を想う教育者でもあった最澄の遺言である。



その夜の宿の京都東山三条へ向かう車窓から、ライトアップされた清水寺が見えました。

夕食は京らしい上品なお料理で、初物のタケノコもいただきました。

夕食の後、「東山・花灯路」(3/13〜3/22)へ。


花灯路(青蓮院)



ライトアップされた知恩院大門


ホテルを出て青蓮院から知恩院あたりまでをそぞろ歩き。

ライトアップはもっと先の清水寺まで続いているとのことでした。


第19番 霊鹿山 行願寺革堂(こうどう)

第19番 霊鹿山 行願寺革堂(こうどう)

住 所 京都市中京区寺町通竹屋町上ル行願寺門前町17番地

ご本尊 千手観世音菩薩

開 基 行円上人

御詠歌 花を見て いまは望みも 革堂の庭の千草も盛りなるらん


若い頃の行円上人は気性が荒く、ある時身篭った牝鹿を射止めその親鹿と共に死んだ仔鹿の最期を見て自らの行為を恥じて仏門に入り、その牝鹿の革を衣にしたところから上人は「革聖」と呼ばれ、寺は「革堂」と呼ばれたとのことです。

昨日の冷たい雨とは打って変わって快晴の朝の日差しの中でのお参りです。

9時になるのを待って堂内に座してご本尊に対面しました。

ご本尊は、毎年3月にご開帳されています。


朝の光を受けて行願寺革堂



仏の言葉豆知識 「菩提心」     ・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

悟りの正しい智慧を得ようとする志をたて、求道の念を起こし、仏果を得ようと仏になる心を持つこと。

天台宗は開宗1200年のよき年を迎え、在家の方々は授戒を受けて一切懺悔すると、頭に「おかみそり」と仏舎利の羯磨を頂く。

五戒を守って、@ものの命を無理にとらない、Aものを盗まない、B嘘をつかない等々

観音様のようにいつもにこにこ精進いただきたい。


第18番 紫雲山 頂法寺六角堂(ろっかくどう)


第18番 紫雲山 頂法寺六角堂(ろっかくどう)

住 所 京都市中京区六角通東洞院西入堂之前町248

ご本尊 六臂如意輪観世音菩薩

開 基 聖徳太子

御詠歌 わが思う心のうちは六の角 ただ丸かれと祈るなりけり



六角堂としだれ柳



大きなビルに囲まれるように建っている本堂は六角形をしているため六角堂と呼ばれ、町民に慕われてきたといわれています。


本堂裏の池で太子が沐浴をされたとか、今は白鳥が悠々と泳いでいます。

この池のほとりに小野妹子の寺坊があって「池坊」とよばれ、妹子は太子の教えに従い朝夕宝前に花を供え、代々の住職はこれを伝え生け花の名手が輩出したという、日本の生け花の発祥の地であり、今も華道池坊の家元が六角堂の管主となっています。




また、親鸞聖人が比叡山から夜毎六角堂に通って100日間参篭し、夢中のお告げにより浄土真宗を開いたというところでもあります。


本堂の前には美しいしだれ柳が芽吹いており、結び付けられたおみくじはまるで花が咲いているようでした。


太子沐浴の池




池坊会館外壁の生け花


このしだれ柳は縁結びの柳で、柳の周りをそぞろ歩いているとご縁に恵まれるとか、こころ暖かくなる柳です。


ご本尊は秘仏で、今回御開帳は3/3〜4/12ですが、内陣の参拝はできません。



仏の言葉豆知識

一遇を照らす、此れ則ち国宝なり」・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

どんな仕事でも、社会の役に立つ仕事をする人が国の宝である。

故山田恵諦天台座主は「一遇とは片隅でなく『居るところ』であり、その場所で必要な光を自ら発するようになれというのがこの言葉の意味である。
その場その状況において役立つ人間、欠くことのできない人間であれ」と言っておられる。



第16番 音羽山 清水寺(きよみずでら)

第16番 音羽山 清水寺(きよみずでら)

住 所 京都市東山区清水1丁目294

ご本尊 十一面千手千眼観世音菩薩

開 基 延鎮上人

御詠歌 松風や 音羽の滝の清水を むすぶ心は涼しかるらん



中学校の修学旅行で清水寺を訪れて以来ここには度々来ますが、桜によし、紅葉によしの「観光地」として、でした。


今回初めて本堂に上がり、お坊さんの絶え間ないお経を耳にしながら、観音様を間近に拝観させていただきました。


清水寺


音羽の滝


延鎮が音羽の山で練行中、坂上田村麻呂が妻の安産のためにと鹿の懐児を求めて音羽山に来たところに出会い、殺生による安産の非を諭し慈悲を説いて観音に帰依させ、のちに、田村将軍によって当寺が建立されたそうです。

舞台作りの国宝・本堂をはじめ、たくさんの重要文化財が音羽の山にしっくりと調和し、世界遺産にも登録されています。


ご本尊は秘仏で、今回、3/1〜5/31までご開帳されます。



仏の言葉豆知識

末那識(まなしき)」・・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より

誰でも、心に意識できない領域のあることに気づいている。

仏教はその無意識の世界に、ひたすら自分の都合だけを追求してやまない働きのあることを発見した。そしてそれを末那識と呼んだ。末那とは、古代インド語のマナスを漢字で音写したもので、「恒審思量」の意。

自分の事だけを、恒に審(つまび)らかに思量する。そういう利己性を、私たちは心の底にもっているのだ。



竜馬と慎太郎の墓


霙の中で寒くせわしなかった1日目。


快晴で気温がぐんぐん上がった2日目は、三か寺を急いでまわり、お昼には湯豆腐をたらふく食べて予定の全日程が終了。


産寧坂で出会った体験舞妓さん


高台寺


2時間近くある自由時間で、産寧坂・二寧坂を通り、ねね縁の高台寺と、坂本竜馬と中岡慎太郎の墓へお参りすることができました。

人気者の竜馬の墓前には、次々と人が訪れていました。


           


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