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成相寺のシャクナゲと撞かずの鐘
このところ岐阜・南紀・長野と高知からは遠隔地が続いていましたが、今回は久しぶりに関西圏の近いところでした。
爽やかな五月の風を受けて、4か寺を訪ねてまいりました。
第28番 成相山 成相寺(なりあいじ) 住 所 京都府宮津市成相寺339 ご本尊 聖観世音菩薩 開 基 真応上人 御詠歌 波の音 松のひびきも 成相の 風ふきわたす 天の橋立
ヤマブキと桜の向こうが本堂
西国三十三所では一番北にある成相寺は、日本三景「天橋立」を見下ろす鼓が岳の中腹にあり、今がちょうど見頃のシャクナゲや桜の桃色、ヤマブキの黄色に美しく彩られていました。
ご本尊は秘仏で、33年に一度の御開帳で、今回の特別御開帳は5月いっぱいです。
「身代わり観音」 雪深い草庵で修行中の僧が食べるものがなくなり餓死寸前となった。 夢うつつの中で、堂の外で倒れている猪の左右の腿を削いで鍋で煮て食べた。
甚五郎作「真向の龍」
美しい五重塔
春になってやってきた村人が、本尊の両腿が削りとられ鍋の中に木屑を見つけた。 これを知らされた僧は、観音様が身代わりになって助けてくれたことを悟り、木屑を拾って腿につけると元通りになったという。これが寺名の由来となりました。
「撞かずの鐘」 17世紀初めに梵鐘を作り直すため近在に寄進を募った。 裕福そうな家の女房が「子供はたくさん居るがお寺へ寄付する金はない」と険しく断った。 やがて鋳造の日、村人達の中に乳飲み子を抱いて見物するくだんの女房がいたが、誤ってルツボの中へ子供を落としてしまった。 梵鐘は出来上がったが、鐘の音色に耳を傾けると悲しい子供の泣き声が聞こえ、以後、一切この鐘を撞くことはないという。 山を下り、傘松公園の天橋立ビューポイントで、恒例(!)の股覗きに興じ、さらにケーブルカーで麓まで下りました。
天橋立
股覗きすると!
仏の言葉豆知識 「心暗き時は即ち遭うところ悉く禍なり」・・「西国巡礼慈悲の道」より 心が病んでいては、自分の周りの出来事はことごとく良いことがない。 心、健全にて穏やかならば、目に見える現象全てが宝物に見え、自分の周りに素晴らしい出来事が起こるものである。 人生は心の持ちよう。 悪いことを考えていては、そういう人生にしかならず、仏の心を持っていれば、善人・徳人が回りに集うのである。
第29番 青葉山 松尾寺(まつのおでら) 住 所 京都府舞鶴市松尾532 ご本尊 馬頭観世音菩薩 開 基 威光上人 御詠歌 そのかみは 幾世経ぬらん 便りをば 千歳もここに まつのおでら
牡丹が迎えてくれた松尾寺の仁王門
若狭富士と呼ばれる青葉山の110段の長い石段を上がると、古い歴史を思わせる山門があり、お寺さんの丹精の鉢植えの牡丹が出迎えてくれました。 そこからさらに33段を上がったところが本堂です。
菩薩様の頭の上に馬の頭が乗っている馬頭観音さまは三十三所のうちではここだけだとか。 牛馬畜産・車馬交通・さらには競馬に因む信仰を集めているそうです。 このご本尊は秘仏ですが、今回の特別御開帳は昨年10月から今年の9月迄です。
松尾寺本堂
仏の言葉豆知識 「理知不二」・・・・・・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より 仏が示す真如の説理(理)と、これと対照的な、説理をさとろうとする智慧(智)がたがいに影響しあい、また、同体になる教義をいう。 真言密教に伝わる金剛界や胎蔵界曼荼羅の教義に代表される。
小浜湾の夕景と送電線の鉄柱
さて、バスは舞鶴から東へ東へ。 アメリカ大統領選挙にからんですっかり有名になった福井県小浜市が今夜の宿泊地です。 ホテルから小浜湾の向こうに見える半島の稜線にはたくさんの鉄柱が並んでいました。 あの先には原子力発電所があるのでしょうか。
第30番 竹生島 宝厳寺(ほうごんじ) 住 所 滋賀県東浅井郡びわ町早崎竹生島1664 ご本尊 千手千眼観世音菩薩 開 基 行基 御詠歌 月も日も 波間に浮かぶ 竹生島 船に宝を 積むここちして
湖北・今津港を朝一番の船に乗り、竹生島へ渡ります。 湖面からつきでた岩の塊のような竹生島は、宝厳寺のいくつかの塔頭と都久夫須麻神社と参拝者への土産物屋があるだけです。 きつい石段を上り登って本堂へ。そこから下って観音堂へ。 観音堂の玄関のように建つ唐門は国宝で、檜皮葺きの屋根は苔むして重厚そのもの。くぐれば観音堂へ続きます。
観音堂と唐門の屋根
中央が宝厳寺本堂、右下木立に覆われる観音堂
ご本尊は秘仏、60年に一度の御開帳です。 今回は5月1日〜15日ですが、来年の5月1日〜15日にも御開帳されます。 舟から降りての滞在時間は75分、遅れてはならじと結構気ぜわしい竹生島参りでした。
仏の言葉豆知識 「能く誦し能く言うこと鸚鵡もよく為す」・・「西国巡礼慈悲の道」より 物事をよく学ぶことは大切ではあるが、学んだ事を偉そうに言っていても何にもならない。 ただ言うだけならオウムでもするし、口先だけで何もしないのなら猩々(これ以上無い程のおろかな動物)と同じこと。 大切な事は、それを自分のものとして、いかに人生に生かし、どう行動をしていく事ができるか、なのである。
第17番 補陀洛山 六波羅蜜寺(ろくはらみつじ) 住 所 京都府京都市東山区松原通大和大路東入ル2丁目轆轤町 ご本尊 十一面観世音菩薩 開 基 空也上人 御詠歌 重くとも 五つの罪は よもあらじ 六波羅堂へ 参る身なれば
湖西道路を南下、京都へ入りすぐの東山です。 大通りから古い京都の良さが残る路地を少し歩けば六波羅堂蜜寺はすぐでした。 朱塗りの柱の上部には異国情緒たっぷりに青や緑で彩色されていました。
六波羅堂蜜寺本堂の彩色
10世紀中ごろ、醍醐天皇第二皇子・空也上人により開創され、当時京都に流行した悪疫退散のため、上人自ら十一面観音像を刻み、御仏を車に安置して市中を曵き回り、青竹を八葉の蓮片の如く割り茶を立て、中へ小梅干と結昆布を入れ仏前に献じた茶を病者に授け、歓喜踊躍しつつ念仏を唱えてついに病魔を鎮められたといわれています。 ご本尊は秘仏、12年毎の辰年に御開帳されますが、今回の特別御開帳は4月26日から5月6日まででした。 宝物殿には、口から六体の阿弥陀が出ている空也上人立像はじめ多くの仏像のほか、平清盛像、運慶・湛慶像など鎌倉期の貴重な木造彫刻が展示されていました。
仏の言葉豆知識 「熏習(くんじゅう)」・・・・・・・「西国巡礼慈悲の道」より 私たちのしたこと、思ったことは、その後どうなるのか。すんでしまえば、もう終わりか。 一瞬心をよぎった憎悪の感情だから、大したこともあるまい。 イヤ、そうではない。 そうした行為の情報がすべて、私たち自身の心の深みに送り込まれて蓄積されるのだ。 これを熏習(くんじゅう)という。 そして、心の深みに熏習された情報が、他ならぬ明日の行為のタネになるのだ。
落ち着いた路地
今回は連休に入る前の金・土曜でしたのでさしたる渋滞はありませんでした。 6〜8月は特別御開帳は殆どないので巡拝の旅はお休み、9月に再開です。 麗