遍路紀行

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遍路紀行その38 八百坂峠〜柏坂越〜清水大師〜三島橋(H18.3.10)



柏坂上り口



早くもイタドリが


春先の天候は変わりやすいもの。

いつでも遍路の日が近づいてくると現地の天気予報を見るのですが、今回は生憎の「傘マーク」。

ところが前日になると「傘」が消え、当日、八百坂峠までのバス移動の4時間で、なんと上天気になりました。


高知からの到着は11時半、八百坂峠から昼飯前のひと歩きです。

穏やかな宇和海を眺めながらの6キロほどの道のりですが、昼ご飯につらされて足取りの速いこと。

途中、早くもイタドリが出ているのを発見、暖かいところであることを再認識しました。

1時間ほどで内海町の海沿いのレストランに到着しました。


宇和海からの贈り物がいっぱい



向こうの山を越えます


昼食には、緋扇貝(ひおうぎがい)、ハマチ、ジャコテン、キビナゴ、ポンカンなど当地の産物が並べられていました。

レストランの前からは、これから越えていく山が遠くに見えます。

誰ですか? 「勇気凛々」なんて言うのは!



団体で時間が掛かるのはトイレタイム。

これから山へ向かうため、1個しかないトイレの前で行列になり、出発予定を10分オーバーして13時30分に出発しました。

柏川を遡り山のほうへ進みます。1.3キロ、10分ほどで柏坂登り口です。

白木蓮の大木を右手に見ながら山道に入りました。


柏川沿いの遍路道標



急坂を行く80歳の先達さん


かなりの急勾配で、少し行っては休み、また少し行っては休みという状態です。

野口雨情さんが、かつてこの道を越えて行ったのでしょうか、山中のあちこちに歌碑が建てられており、それを味わい心身を癒しながら、ようやく「柳水(やなぎみず)大師」に到着しました。

柏坂登り口から1時間近くかかりました。



足元にはタチツボスミレ


頭上にはキブシ



柳水は、お大師様がここを行く人々の渇きを癒すためにと柳の杖を突きたてたらそこに清水がわきだし、その杖は根付いて春になれば新芽をつけたとか。


そこからさらに30分ほど登ると柏坂峠で、峠の下は「清水大師」です。

ここにもシキミの木の下から清水が湧き出て、それを飲んだ娘巡礼の労咳が治ったという、お大師様にまつわる伝説が残っています。


野口雨情の歌碑



柳水大師が見えてきました


清水大師まで来ると、きつい上り坂は終わりです。


柏坂登り口から2.5キロ、90分かかりました。

「接待松」を過ぎ、「つわな奥展望所」で美しい宇和海を眺め、「馬の背」を過ぎ、「茶堂休憩所」まで来ると、あとはどんどん下りました。



柳水大師


清水大師



何もない山道で退屈しないようにとの心遣いでしょうか、この山道のそこここに伝わってきた伝説や昔話などを随所に掲示してありました。

「ゴメン木戸」「女兵さん思案の石」「狸の尾曲がり」「鼻欠けオウマの墓」「クメヒチ屋敷」など。


シキミの花が満開



馬の背


接待松(松の株が残っています)


時代が進み、里山から人が離れていくと、昔話も語り継がれなくなります。

自然の山道を行く遍路たちに「ここに伝わった昔話」を読ませてくれるなど、なんとゆったりとしたありがたいお接待でしょう。


やがて、犬の吠え声が聞こえ、人の気配のある里まで下りてきました。

道端のイヌフグリが花開き、ツクシが伸び、ボケの赤い花がきれいです。

国道56号に出、今日の予定地、津島町の三島橋へは、清水大師から5.3キロ、100分でした。

総歩行距離は15.6キロということですが、急坂の上り下りで結構疲れました。


茶堂休憩所



藪の中の紫木蓮


ツクシ


三島から国道56号を南下、内海町のお風呂「ゆらり内海」へ着いたときには、西の空は夕焼けて、今にも咲きそうに膨らんだ桜の蕾の向こうには、11日の白い月が出ていました。



「ゆらり内海」は、真珠貝の稚貝を育てるために宇和海から汲み上げ濾過した海水を、お風呂にしていますので、天然ミネラルたっぷりの潮湯で、効能があるようです。


毎日この潮湯に浸かっていれば「真珠のようなお肌」になるかも!


イヌフグリも真っ盛り



ボケ


夕食はバスの中で、と、思い思いに食べ物を買い込んで帰途につきました。


高知発で現地まで一番遠いところですので、バスの乗車時間は片道4時間以上掛かります。

高知へ着いたのは10時を過ぎていました。

次回からは梼原経由となります。




次回は、3月24日、三島橋〜旧松尾トンネル〜宇和島南ICです。



         娘遍路


蕾が膨らんだ桜と月

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