遍路紀行

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遍路紀行その41 41番龍光寺〜42番仏木寺〜43番明石寺(H18.4.21)



仏木寺の鐘楼



道端のチューリップ


晩春のこの日、高知県の県境あたりでは猛烈な冷え込みで、積雪や霧氷が見られたそうです。

10時半、龍光寺の近くから仏木寺(ぶつもくじ)へ向かって歩き始めたのですが、吹き付けてくる風の寒いこと!

冷たい風に乗って雪が舞い落ちてきても不思議ではないとさえ思われました。



とはいえ4月も下旬。

田植えの進む田道には草花が春を謳歌し、若葉になったサクラの次にはボタン桜が満開です。


ヒメオドリコソウ


ムラサキサギゴケ



ジシバリ


道路沿いに、三間高等学校の生徒さん初め地元の皆さんが植えた無数のチューリップが地元以外にも知られていますが、残念ながら花はとうに終わっていました。



20分ほどで42番・仏木寺(ぶつもくじ)へ到着。


山門を入ると右手にカヤ葺きの鐘楼があります。88ヵ所の中でもカヤ葺きの鐘楼はここだけだそうです。


仏木寺本堂


家畜堂に祭られた牛など


今では農業も機械化されましたが、半世紀ほど前までの日本では、農家に牛馬はなくてはならないものでした。

仏木寺はその牛馬など家畜の守り仏として信仰されてきています。

本堂の右手にはこじんまりした家畜堂があり、牛馬やわらじ、その他の農業用小物などが祭られていました。



ところで、札所でのお勤めはおよそ20〜30分を要します。


先ず、山門へはお大師様が迎えに来てくださっているとか、合掌し、一礼します。

手を清め、本堂へ進み、納め札、線香3本、ろうそく1本、お賽銭、開経偈(かいぎょうげ)から始まる仏前勤行次第(お経)を読み上げ、合掌。


ここから歯長峠への遍路道



シュンラン


次に大師堂に進み、納め札から合掌まで本堂と同じ手順。


お勤めが終わって帰るときも、お大師様が見送ってくださっているそうです。

山門で、振り返って合掌、一礼。


改めて書いてみるといまさらのようですが、すでにいつもの呼吸のように無意識に身についていることに気がつきます。



さて、お参りを済ませてバスで移動。少し早めの昼食をとり、午後は12時10分から歩きます。


2キロ、30分ほど行ってから右手の山道に入ります。

舗装路にはないやわらかい感触を味わいながら息を弾ませます。

吹く風が涼しく感じられるようになりました。


ムサシアブミ



ヒメウズ


ヒゴスミレ


ツツジ、シュンラン、ムサシアブミ、ヒゴスミレ、ヒメウズ、ヤブレガサの芽立ちなど、春山の山野草との出会いがうれしい道行です。



ヤブレガサ


イカリソウ



約1時間で歯長峠へ着き、少し休憩しました。

上りがきつかったと同様、下りも急坂で、ふもとの歯長橋まで足元に気をつけながらの1時間でした。


歯長峠で一休み



下り道


歯長橋からは平地で、見事に手入れされた民家の石楠花やライラック、クマガイソウ、ハナミズキ、月桂樹など、疲れも忘れさせてくれる花々を見ることができました。



のどかな道を、5.8キロ、ようやく43番・明石寺(めいせきじ)へやってきました。


お寺は少し上にあるので、坂道をあがり、石段をあがり、ようやく着いた境内にはサクラが残っているではありませんか!

歯長の遍路道で疲れて「ヘロヘロ」状態でしたが、思いがけないサクラに癒されたのでした。


月桂樹


石楠花


ハナミズキ


クマガイソウ



ツツジ


ボタンザクラ


ライラック



明石寺本堂


お参りを済ませて山門を出るときにみたモミジの新緑の美しさは見事でした。


今日の行程はここまで。

高速道で大洲まで行き、雑木山の緑の香りに包まれた立地の「ゆう湯さがの温泉」の薬草風呂などで疲れた体のメンテをしっかり行い、松山道を通って帰りました。



21日は縁日、近在の人々もお参りに



「土・日組は歯長峠への山道は止めて下の平坦な道にする」と先達さんがおっしゃっていましたが、私たち金曜組は、その昔の街道を、きつくても楽しく頑張る喜びをいただけたことをありがたいと感謝・感謝です。



次回は連休を過ぎての5月12日、43番・明石寺〜鳥坂峠〜札掛大師堂(大洲市)までです。

         娘遍路


山門の外は美しい新緑


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