遍路紀行

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遍路紀行その45 上田渡薬師堂〜下坂場峠〜久万高原(H18.6.23)



ひわた峠への登り口



濁流の田渡川


昨年とはうって変わって今年はよく雨が降ります。

この日も前日からの雨続きで、高知道は50キロ規制でした。

9時半に松山ICを降り、10時ころ、前回到達の上田渡(かみたど)薬師堂に着きました。



上田渡薬師堂のトイレはひとつだけですから、これからの道のりを思うと、出発までにかなりの時間がかかります。

ようやく小雨の中を出発。

前回川底まで見えた清流・田渡川は、前日来の大雨のため濁流が轟々と迸っています。


久万・中山線は左へ



溝浚え


川沿いに30分ほど進み「主要地方道・久万中山線」の標識の示す左へ進路をとりました。

緩やかですが上り勾配の道で、交通量は少なく、「過疎の地方道」の様相です。

道路の側溝は土砂や落ち葉で埋まり、行き場がなくなって流れる雨水は路面へ溢れています。



道路は水深2センチほどの川の状態。


「このゴミを除けたら・・、この石を寄せたら・・」

いつの間にか、だれかれが、側溝の清掃をやっては進み、やっては進みしましたが、歩きながらの片手間では埒があきません。

「清掃のためだけに来たいねえ」


三嶋神社の鳥居



本殿の軒を借りて昼食


そうこうしながら5.3キロ、1時間半で、三嶋神社に到着しました。

今回の昼食は、三嶋神社の軒を借りてのお弁当です。

古めかしい由緒ある神社で、広い境内には杉の巨木があり、本殿には神楽の奉納がしのばれる舞台、その上には板に描かれた年代ものの絵がかけられていました。


午後は12時20分に三嶋神社を出発、下坂場峠(しもさかばとうげ)へ向かいます。

栗の栽培の盛んなところらしく、いたるところに栗の花が咲いています。

たくさんの雄花の白に隠れるように、小さいながらもちゃんとイガを持った雌花を間近に見ました。

萩の花のような「コマツナギ」も今を盛りに、「オカトラノオ」も可憐に咲いていました。


栗の花・真ん中が雌花



コマツナギ


オカトラノオ



ひわた峠遍路道


40分ほど行ったところで、舗装路から左の山中の「ひわた峠遍路道」へ入ります。





少しきつい山道で、15分ほどで標高570メートルの「下坂場峠」へ到着しましたが、これと言う感慨もないまま通り過ぎてしまいました。


三嶋神社から2.7キロ、50分でした。


下坂場峠



狭い遍路道


20分ほどで下り、民家の裏に人一人がやっと通れる遍路道を見つけて通り、初夏らしくタチアオイが空に向かって咲き登るのを見上げながら、いよいよ次の「ひわた峠」へ向かいます。




この道もやはり側溝を塞がれた雨水が路面を流れており、キリがないとは思いながら、明日も明後日もここを歩く人がいると思っては、清掃に手を出してしまうのでした。



清掃活動に精出しました



ひわた峠の立看板


やがて別荘など高原の風情を味わい、さらに山道を進んで、「ひわた峠」へ到着しました。

下坂場峠から4.2キロ、1時間半でした。

昭和30年頃までは、二名(ふたな)と久万(くま)を結ぶ主要道だったとか、標高790メートルのこの峠には当時は茶屋もあり賑わったそうです。



峠近くで「ツチアケビ」の開花を始めたばかりのものが2本並んでいました。


道中で、雨に傷んでいましたが、「ササユリ」も見かけました。

歩きならではのありがたい出会いだと思います。


ササユリ



ツチアケビ


さて、ひわた峠からは、沢沿いに行く予定が、増水で通行不能のため、車道(これもがけ崩れのため車両通行止めになっていました)を迂回して下りていきました。


ようやく平地に下りるとそこは久万高原(くまこうげん)町の中心部。

ざくろの赤い花が迎えてくれました。

ひわた峠から4キロほど、1時間でした。



今回は一日中雨の中を歩きましたが、この時期ではカンカン照りよりは楽だと思います。

帰路は国道33号を仁淀川沿いに走り、中津渓谷「ゆの森」で、湯ったり疲れを落として帰ってきました。


次回は7月7日、久万高原〜44番大宝寺〜八丁坂〜45番岩屋寺の予定です。

        娘遍路


雨に濡れる石榴の花

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