遍路紀行

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遍路紀行その46 久万高原〜44番大宝寺〜八丁坂〜45番岩屋寺(H18.7.7)



草むらの中のお地蔵さん



え?大宝寺の山門


今回は高速道ではなく、国道33号線を西進し、途中、引地橋でトイレ休憩、10時前に久万高原町へ到着、雨の身支度をして10時過ぎに久万高原町役場から歩き始めました。

旧道へ入り、北へ200メートルほどのところを右折、久万川を渡ると、道路にまたがる不思議な門が見えました。これは大宝寺の山門だとか。



この門をくぐり10分ほど歩いて行くと、右手に「大宝寺」書かれた大きな苔むした石柱があり、そこから坂を上っていくと、長さ6メートルもあるという大きな草鞋が架けられた仁王門に着きました。


今日歩き始めて1.3キロ、約20分でした。

サクラの花が咲いていた「43番明石寺」から80キロ以上歩いてようやく到着です。


仁王門の巨大なわらじ



山頭火の句碑


高い石段の上には本堂が、本堂からさらに上には大師堂が建っています。


大師堂には「御影堂(みえどう)」と書かれた額があります。

境内は大きな杉木立で薄暗く、石垣にはユキノシタが咲き、山頭火の句碑の前には白いギボウシが雨に濡れています。

7月になってもこうした春の花が見られ、標高が高く年間気温が低いことがうかがわれます。


階段の上は本堂



大師堂ではなく「御影堂」


「殆どのところは『大師堂』といっとるが、『御影堂『というのが本当じゃからな」と先達さんから教えていただきました。


深い木立に覆われた山のあちこちに堂坊が建てられている規模の大きさから、相当な格式が窺がわれます。



このお寺は8世紀初めに百済の僧がお堂を建てたのが始まりだとか。


その後弘法大師が留錫・修行し、44番札所と定め、12世紀半ばには、後白河天皇が病気平癒を祈願、帝の妹宮を住職として下向させたとか、また、伊予藩主・松平家の祈願所でもあったというのですから、格式の高さには納得できます。


木立の中の遍路道



「峠御堂トンネル」出口へ 


お参りを済ませ、10時50分、次へと進みます。

山の中の遍路道を登り下り、50分ほどで「峠御堂トンネル」の出口へ来ました。

そこからは県道を狩場(かりば)まで行き、12時、昼食場所の古岩屋荘へバスに乗って移動です。



食後、狩場から八丁坂へ向かいます。


この頃にはあたりも明るくなって雨は殆ど上がったようです。

7月の歩きは灼熱地獄なのですが、このところ遍路の日には空模様が曇や雨だということと、高原地帯であることで、暑さから救われているように思います。


午後からの道にはアジサイ


そこここに咲くネムの花


道路沿いに植えられたアジサイはまだまだ見頃です。


草むらの中のお地蔵さんに心和ませながら次第に山へと入っていきます。

7月になると花は少なくなりますが、そこかしこのネムの花はどれも見頃ですし、草花では、キュウリグサ、オカトラノオ、白ヤマブキなどが見られました。


ミズタビラコ


オカトラノオ


白ヤマブキ



2.3キロ、1時間ほどで八丁坂休憩所へ。この坂はこれからも続き、さらに25分ほど急坂を上り詰めたところは「八丁坂茶店跡」、15分ほど休憩の後、尾根道を歩きます。


八丁坂



尾根道を2キロ、30分ほど行くと、やがてあちこちに童子像が目に付くようになり、すでに45番・岩屋寺の中に入っていることに気づきます。

嘗ては山岳修行場であったという、奇岩の集合体のようなお山を、鎖に助けられながら下りていき、山門をくぐると大師堂がありました。



岩山に近い奥のほうに少し小さく本堂が建っています。

ここ岩屋寺は山自体が本堂だとか、本堂の建物が小さいのも納得できます。

ここで今日2ヵ寺目のお参りをします。

本日の歩行距離11キロは、山道、急坂続きでしたが、あとは県道まで600メートルほど降りるだけです。

バスに乗って昼食を摂った「古岩屋荘」へ。







本堂


岩屋寺山門


ボコボコと穴の開いた奇岩の山、それに張り付く木々の滴るような美しい緑。

そして、温泉に浸かって汗と疲れを流し、上期の予定を無事歩きとおして夏休み(8月いっぱい)に入れる安堵感に満たされたのでした。



今回の道中では前述の草花の他にも、黄ツリフネ、ウチョウラン、ハナイカダの実やイチヤクソウの花後、そしてオオヤマサギソウの蕾でしょうか、色々と珍しいものに出会うことができました。

この夏を元気に過ごし、9月1日、岩屋寺〜久万高原〜三坂峠を楽しく歩きたいものです。

        娘遍路


イチヤクソウ花後


オオヤマサギソウ?



黄ツリフネ


ハナイカダの実


ウチョウラン


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