遍路紀行

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遍路紀行その49 49番浄土寺〜50番繁多寺〜51番石手寺〜太山寺一の門
(H18.10.6)


木陰で一休み



石榴の実


この日、四国沖で発生した低気圧が北上、関東以北で大荒れになっているとのことでしたが、高知は好天の朝を迎え、バスが「たかのこ」へ着いたときには曇り空の涼しい天候でした。



9時20分、民家の塀からぶら下がった石榴や椿の赤い実に秋を見ながら、住宅地を500メートルほど行くと49番浄土寺です。


浄土寺山門


浄土寺本堂


この寺は、応永4年の兵火で消失・荒廃していたものを、15世紀、領主・河野家によって再興されたもので、本堂は築後500年以上になる唐様式建築の重要文化財です。

また、醍醐天皇の第二皇子で、「口から仏を吐く上人」と言われ里人から慕われた、空也上人ゆかりの寺でもあります。



境内にはかつて幹周り4メートルあまり、境内の半分をも覆うほどの「空也松」があったそうですが、枯死して今では根元から切られた姿を残し、そばに新しい空也松が育っています。


菩提樹の実


浄土寺大師堂



空也松の根っこと若木


浄土寺を出て右手、山沿いに歩を進めます。

道端にコスモスが咲いており、つい眼はそのほうに向かいます。



1.6キロ、25分で、50番繁多寺へ到着です。

少し山へ上がり、山門をくぐり、広い境内を進んでいくと、俳人・正岡子規の生まれた土地・愛媛らしく、句碑や俳句ポストが目に付きます。


コスモスに注ぐ先達さんの眼差し



繁多寺本堂


本堂前の石段のそばでは桃色の芙蓉が出迎えてくれました。


お堂のどれもが比較的新しく、清らかで明るくゆったりした境内です。

さきほど訪れた浄土寺は空也上人ゆかりの寺でしたが、繁多寺は「捨聖(すてひじり)」と言われた一遍上人(鎌倉時代の豪族・河野通広の子で15歳で出家、時宗の開祖)が寺に留錫・修学されたといわれています。



繁多寺を出て町並みを見下ろしながら歩きますが、市街地やそれに近い人里ばかりで、山の中の遍路道のように自生の季節の草花との出会いはありません。


ユウゲショウ


白山吹の実



石手寺へ到着


時折足元に小さなピンクのユウゲショウを見かけます。

この草は名前の感じからきっと日本の在来種だと思っていましたが、明治以降にアメリカから渡来したものだそうです。


市街地へ降り、あちらこちらに神社の幟や、祭り提灯を目にしているうちに石手まで来ていました。


2.5キロ、40分で51番・石手寺へ到着です。

石手寺の参道には屋根があり、両側にはずらりと露店が並び、年間100万人が訪れる観光地になっています。


屋根付参道



本堂でのお勤め


参道の奥の山門をくぐると、鬱蒼とした境内にはいろんな古い堂宇があります。


本堂で勤行の後、左手のマントラ塔の暗い穴に入り、洞内巡礼をしました。

マントラを出て大師堂に進み、次いで宝物館へ行くと、ガラス戸越しに見える厨子の中に小石がありました。



マントラの奥のお大師様


石手寺大師堂



衛門三郎(遍路紀行48をご参照ください)が大師に自らの非を詫び、臨終の際に、「来世は領主の家に生まれたい」と望み、大師は小石に「衛門三郎」と書いて握らせました。

その後、領主の河野家に誕生した男の子が、「衛門三郎」と書いた石をしっかりと握っていたとか。

その石が宝物として大切に祀られているのです。


中央が宝物館の宝の「石」



ネオン坂歓楽街


石手寺は、元は河野家の菩提寺で「安養寺」と呼ばれていましたが、「石手寺」と改称、衛門三郎再生伝説が残されています。

石手寺を出て1.3キロ、20分で道後温泉の「にぎたつ会館」に到着、昼食休憩です。



午後は1時10分に出発。

その昔はどんなにか賑わったであろう「歓楽街(色町)」を横目に、道後温泉本館や、松山大学前を過ぎ、国道のひとつ東側の生活道を進みます。



松山は秋祭りの中日でした



神社の幟


時間があれば行きたい所


たわわの柿

観光として行きたい山頭火の「一草庵」や「ロシア人墓地」などの看板も目にしました。





道後温泉から6キロほど、大きな木が影を作ってくれているところにベンチがあり、そこで一休みしましたが、斜面のヒガンバナがきれいでした。


黄金色に色づいた稲穂、たわわに実る柿。秋祭りのはためく幟。


豊かな日本の秋を実感しながらの10キロ。


黄金色の実り



太山寺・一の門


ようやく本日の予定地・太山寺の一の門をくぐっていくと、参道にかわいいお御輿がおかれていました。


明日になれば子供達がにぎやかにお御輿を担いで祭りを盛り上げることでしょう。

ということで、本日は約15キロ。

頑張って歩いたので、予定より1時間近く早めの到着となりました。


来るときに横目で見て通り過ぎた「道後温泉本館」へ行き、入浴。

建物の構えは豪華ですが、浴室は昔ながらの銭湯という感じです。

女湯の50人ほどの殆どは観光客でしょうか、田舎者の麗には「芋をこねるほど大勢で混み合っている」ように思いました。


明日を待つ祭り御輿



道後温泉本館


道後温泉本館は四国では有名な老舗の温泉ですが、さっぱりと軽く入ることができました。


次回は10月27日、52番太山寺〜53番円明寺〜伊予北条までです。


     娘遍路

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