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太山寺本堂
太山寺二の門
少しずつの区切り打ちが、なんと50回にもなってしまいました。 めぐり来る季節に移り変わっていく自然の美しさや、一つ一つのさりげない出会いのありがたさをしみじみと思うとき、こうして歩いて行けることこそが「ご利益」なのだと思わずにはいられません。
さて今回も好天に恵まれて、バスは10時に52番太山寺(たいざんじ)に着きました。 「一の門」から300メートルほどで「二の門」、さらに50メートルほどでバスの駐車場、ここから少し行くと右手に立派な本坊(納経所)、鬱蒼とした木立の中をさらに行くと長い石段があり、その先に三つ目の大きな山門、それをくぐってやっと本堂に行き着きました。 (一の門から二の門・三の門、そして本堂まで、参道は800メートル)
太山寺三の門への石段
美しい甍
1305年の建立という、豪壮・端正な本堂(国宝)に先ずは圧倒されます。 大きな瓦屋根は緩やかなカーブを描き、その先端は天を突くように反っています。 見ていると、なぜか姿勢を正したくなるような、荘重な緊張感に包まれます。
この緊張感溢れる感動を写真に撮りたいと、本堂の正面から狙ってみました。 が、広い境内であるにもかかわらず、麗のコンパクトデジカメの画角では正面からの端正な姿は入りきりませんでした。 本堂から左へさらに石段をあがったところにある大師堂も小さいながらも重厚な屋根を持っていました。
太山寺大師堂
念ずれば花開く
ツワブキ
とにかく、700年もの長い間、人々の心のよりどころとして、ゆるぎなくここにあり続けてきたことの凄いこと!
おりしも澄んだ秋空には秋の雲が流れ、悠久を思わせるにふさわしい状況でした。 さて、太山寺のお参りを済ませ、一の門から左へ、刈り取りを終わった田んぼを見ながら2.3キロ、30分で53番円明寺(えんみょうじ)へ着きました。
ハザ架けの稲
円明寺楼門
山門を入ると「え?また山門?」 実は境内にある立派な楼門は「鐘楼門」だったのですが、鐘は戦時中に供出したとか。 円明寺は住宅街にあり庶民的な雰囲気ですが、建物は太山寺と同様に唐様式で重厚な感じがします。
特に、屋根瓦は最近葺き替えられたようで真新しかったのですが、流れるような曲線や立派な鬼瓦は見事なものです。 もうすぐ11月だとは思えないような暑さと、刺すような日差しを避けて本堂での仏前勤行。 本堂の天井には左甚五郎の木造彫刻「龍」がありますが、灯篭などに遮られて見えづらいので、分かりにくいようです。
陰を選んで本堂前の勤行
銅製納め札のレプリカ
また、本堂横にはこの寺で発見された1650年(江戸初期)の銅製の納め札のレプリカが展示されています。
キリシタン灯篭
大師堂の左横には「キリシタン灯篭」と言われる小さな石塔があります。 禁止されたキリシタン信仰のひそやかな礼拝のあとでしょうか。
円明寺大師堂
食前勤行
学生時代に学んだ歴史の一ページが甦るような懐かしさです。 ということで、2カ寺へお参りしたら、11時半。 昼食場所(権現山荘)へ移動。 海の見える小高い山荘での食事です。
午後は海沿いの単調な舗装路を北条へ向けてひたすら歩くこと約11キロ。 JRのアンパンマン列車に遭遇したことがただひとつのアクセントで、3時間足らずで今日の目的地・伊予北条駅へ到着しました。 本日の歩行は14キロほどでした。
海辺の道
アンパンマン列車
そして、昼食の時に行った権現山の権現温泉でゆっくりお湯に浸かってから帰途につきました。
次回は、11月17日(金)、 伊予北条〜遍照院〜星の浦公園 までです。 娘遍路
権現温泉