遍路紀行

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遍路紀行その52 星の浦公園〜54番延命寺〜59番国分寺
(H18.12.1〜12.2) 


栄福寺の紅葉



延命寺の山門とツツジ


今回は、足摺岬で宿泊以来、一年ぶりの一泊二日の遍路行です。


朝8時に高知を出たときから渋滞にあい、高知・松山・今治小松道経由で星の浦公園へ着いて、歩き始めたのは予定時刻から40分の遅れの10時50分となっていました。



来島ドックを遠く左手に見ながら急ぎ足で6キロ、80分で54番・延命寺(えんめいじ)へ到着しました。

ツツジの大きな株に、春の見事な景観を想像しながら、仁王門、中門と進むと、真正面に本堂、左手の石段の上に大師堂です。

中門右手のある宝永元年鋳造の梵鐘は、土佐・長曽我部の兵火をくぐり今に残るこの寺の寺宝だそうです。


延命寺梵鐘



楽しいポスター

今日来てくださった先達さんは、全員がピシッと揃わないとお勤めを始めない方なので、気ままで道草好きな人がいっぱいいるわが集団ではなかなか大変ですが、それでもキチンとお勤めを済ませ、12時50分、タオルの館「ザイマ会館」へバス移動し、昼食です。


センリョウ


枇杷の花



ザイマ会館の廊下にあったポスターの『むかしの男 半分貸します』というのが可笑しくてワイワイキャーキャー。

とにかく何があってもおかしい年頃です。


食後は良質のタオル製品に眼を奪われ、あれこれと買い物を楽しみました。


イチョウ落ち葉と六地蔵



たわわの柿


午後は延命寺山門右手の道を墓地公園に進み、市街地へ抜けました。

道中では、マンリョウ、イチョウ落ち葉やたわわの柿の実、枇杷の花など、初冬の風景を堪能しました。



3.4キロ、50分で今治市中心街近く、55番・南光坊(なんこうぼう)へ到着。

八十八カ所の札所の中で「坊」と名のつくのはここだけです。

もともと、河野水軍の守り手である、大三島に鎮座する「大山祇(おおやまずみ)神社」に付属する24坊のひとつだったとか。


今治市内を行く



南光坊山門


大きな仁王門には「日本総鎮守 三島地御前」の額がかかり、仁王様は右左前後と4体が睨んでいて強力です。



南光坊を出てJR今治駅前を歩くころはすでに4時、日陰はひんやりしてきました。


3キロ、30分で56番・泰山寺(たいざんじ)へ到着したころには、夕方の空に月が白く光り始めていました。

石垣の上の泰山寺境内には「不忘松(わすれずのまつ)」があります。

その昔、この地の川が雨のたびに氾濫していたのを、大師が里人を集めて堤防を築き、松を植えて護岸とした際に寺にも植えたとか。

その松は枯れて、今の松は中国西安からもってきた種が育っているそうです。


増長天


広目天


多門天


持国天



泰山寺大師堂


不忘松

お参りをして次へと進みましたが、2キロほど行くと夕闇が色濃くなったため、5時半、歩行を打ち切り、今夜の宿の、湯の浦(ゆのうら)温泉「ホテルアジュール」へ移動しました。





楽しかった思い出がいっぱい出ました

早速の入浴です。
女湯に3つあるうちの一番小さい湯船には「繭の成分・セリシン」が入っていてお肌がすべすべになるとのことで大人気。

湯温も低めになっていて長湯ができるようになっていました。もちろん、他のお湯もよく温まり気持ちよく疲れを取ることができました。


一年は早いものです。
昨年12月に日暮れの道を必死で歩いて到着した足摺岬での宿泊。

今年1月に土佐清水市の大岐の浜から北上し、愛媛県を縦断、最北部の今治までやってきました。

夕食時には、この一年の心に残ることを話したり、用意してくれた人による「くじ引き」など、にぎやかで楽しい忘年会をすることができました。


32年前のフラフも披露されました



栄福寺への道


翌朝は6時半に食事。

炊飯器が壊れたとかでご飯が間に合わないというハプニングもありましたが、品数多い和洋のバイキングで腹ごしらえをし、7時半出発、8時に昨日の続きを歩き始めました。

爽やかな朝露が白く光る田道を10分ほどで57番・栄福寺(えいふくじ)に到着、紅葉の美しい境内で朝一番の勤行をしました。



門前のお店でミカンのお接待を受け、左手の小道を進んでいくと、前方の空が妙に暗いのです。


降りだした小雨は、次第に雨音をたてるようになり、山道に入る頃には本格的な雨になりました。道端の大きな木の下で雨宿りをしましたが、止みそうにもありません。

雨具をバスに置いてきたことを後悔しても、バスはここまで入って来られないし、諦めて歩くしかありません。


栄福寺本堂



しばし、雨宿り


2.5キロ、50分ほどかかって58番・仙遊寺(せんゆうじ)の山門まできました。


山門からの暗くきつい登り道の何と遠く感じたことでしょう。

実際は10分ほどでしたが、気持ちが晴れやかでないと道のりまで遠く感じてしまいます。


やっと登りついて、お堂の軒で雨宿りしたり、裏手のバス駐車場へ雨具を取りにいったり、トイレに行ったりで、なかなか皆が揃わないのをじっ〜と待ってくれる先達さん。

結局、山門到着から退出に1時間も掛ってしまいました。


仙遊寺山門



仙遊寺境内


下山は途中から国分寺方面へ道をとり、黙々と林の中を下ります。


里近くでフユイチゴの群生に出会い、大喜びでビタミンC補給。



ルンルンで平地へ下りた時点で「AさんとBさんがいない!」ことに気づき大騒ぎ。

国分寺への分岐で離れたようですが、そこは文明の利器「携帯電話」のおかげで、添乗員さんと連絡が取れて一緒に下山していると判明しました。

最後尾の確認の大切さをあらためて思い知りました。


鐘楼の軒を借りての勤行



下山中


フユイチゴ


仙遊寺から6.2キロ、90分で59番・国分寺(こくぶんじ)へ到着、急に青空が広がりました。

境内は広々として、どの堂宇も新しく端正です。

整然とした境内にいると、宗教が政治と結びついて幾度の戦乱に遭い、破壊と復旧を繰り返し、人間の深い業を包み込んでいるかのように思えるのは、ここが「国分寺」だからでしょうか。

昼食は昨夜のホテル。

食後は国分寺から4.5キロ、約1時間で湯の浦温泉まで歩きました。


国分寺本堂



国分寺大師堂

3度目に入店のこのホテルでシルク(セリシン)の湯に入浴。濡れて冷えた体を温め、すべすべお肌になって、一路高知へ帰ってきました。

次回は来年1月12日、湯の浦温泉〜臼井の水〜丹原〜妙雲寺です。

年末年始を楽しく健康に過ごし、来年も明るく楽しく歩いていきたいものです。

みなさま、どうか良いお年を!

         娘遍路

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