遍路紀行

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遍路紀行その56 上室生橋〜番外・延命寺(H19.3.24)


雨遍路



西原の大地蔵


「金曜日は何故かお天気に恵まれる」というジンクスどおり、23日の金曜日は温かい上天気でした。


ですが、今回は所用で土曜日に変更、天気予報どおり生憎の雨になりました。

雨傘を差して上室川橋を渡り、ほどなく西原の大地蔵、続いて江戸中期に建てられた旧接待堂跡と六地蔵がありました。



先人達の温かい接待の気持ちが伝わってきます。そして、今もきれいに掃除されているのは、信仰とお接待の心が受け継がれているからでしょう。

歩き始めて30分ほどで国道11号へ出ました。

いよ西条ICへの進入路を過ぎ、しばらくして旧道へ入りました。


六地蔵



アーケード街を行く


「旧街道」の標識があちこちにあります。


車が少なかった時代は充分な道幅だったでしょうが、交通量の多い旧街道の行き違いは大変です。

その上、遍路の一行が30人近くも歩いているのです。

なんだか申し訳ないようで、旧街道にこだわらずに、国道の歩道を歩いたほうがいいのではないか、などと思ったものでした。



商店街を進み、アーケード街へ来ました。

嘗ては賑わったでしょうが、シャッターが閉まった店も目立ちます。

アーケード街の中ほどで休憩。

地場の野菜などを売っている籠を覗くと、なんと、キャベツに30円とか50円の値段が付けられています。


ヒイラギナンテン



ヒメオドリコソウ


ムラサキケマン



市民の森上がり口


暖冬で採算に合わないからと畑に叩き込まれた野菜のことをテレビでやっていました。

30円のキャベツは、何ヶ月の世話のあとでの収穫。

捨てられるよりは安くても売りに出されて良かったねと声を掛けてやりたくなりました。


アーケード街を出て進みます。

民家の庭のヒイラギナンテンが黄色い花をいっぱいつけています。足元にはヒメオドリコソウやムラサキケマンが逞しく息づいています。

やがて国領橋。上室川橋から9.1キロ、2時間半でした。
ここから新居浜市内へ移動し、昼食。
具沢山の味噌汁が美味しかったです。


午後は国領橋から旧街道と国道11号を、あちこちしながら進みます。

どんよりとしていますが、雨は大したことはありません。


白木蓮



ベニコブシ


市民の森の上がり口で休憩していると、「遍路紀行」を見てくださっている新居浜市の茜さんがたずねてきてくれました。


国道を3回も往復して捜してくれたとか、一行が国道沿いの旧街道を歩くということをお知らせしなかったという手落ちのために、ご苦労をかけてしまいました。

ゴメンナサイ!


その上、とっても美味しい差し入れまで持ってきてくださいました。

新居浜にいい思い出をとの心遣いがとっても嬉しかったです。

そこから先へと進み、国領橋から6キロ、1時間半で熊谷橋。

特産の五葉松をあしらっている門や庭園の立派なお家が目に付きます。

雨の中で、サクラが一輪開花していました。


五葉松のあるお庭



開き始めたサクラ


クサノオウ


小高い道へはいると自然豊かで、クサノオウ、カキドオシ、ヒメウズ、ジロボウエンゴサク、キケマン、ハナニラなどが春を告げています。


カキドオシ


ヒメウズ


ハナニラ



ジロボウエンゴサク


キケマン



30分ほど行ったところに「三度栗大師」がありました。


お大師様がこの地で子供に栗をもらったお礼に「今より一年に三回の実を与えん」と言って立ち去り、以後この地一帯の栗は、年に三度の実を結ぶとか。

熊谷橋から4.7キロ、1時間10分で番外・延命寺へ着きました。


三度栗大師



延命寺


延命寺には、いざり松と呼ばれた直径5メートル、枝張り30メートル、樹齢7〜800年もの松の巨木があったのですが、昭和43年に枯れたそうです。

今もその根っこが保存され、往時の大きさを偲ぶことができます。

また、お大師様がいざり松のほとりで足の不自由な人に霊符を水に浮かせて飲ましたところ病が全快したといわれ、「千枚通しの霊符」を求めて全国から参拝者が訪れるとか。



今日は穏やかな春雨の中を、西条市〜新居浜市〜四国中央市と歩き、アクアガーデン新居浜で入浴。

高知へ帰ると篠つく雨が降っていました。



次回は4月6日、延命寺〜土居・三島・川之江〜65番・三角寺までです。


           娘遍路


いざり松の根の一部

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