遍路紀行

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遍路紀行その59 佐野〜66番雲辺寺〜67番大興寺 (H19.5.11)


麦秋の頃



雲辺寺遍路道入り口

ものみな生き生きと輝く5月。

今回始めて参加の方もいて、総勢30名。

9時20分、雲辺寺を目指して佐野を出発しました。

10分ほどで雲辺寺遍路道入り口を左へ入ります。



少し上り、下を走る端正な高速道の曲線と別れ、落ち葉でふかふかの遍路道になりました。

かなり急坂ですが、緊張感が解け自然と一体になって息を弾ませます。

高い木立の中を行く遍路道は、明るい木漏れ日が降り注ぎ、きついけれど快適です。

どなたが置かれたのでしょう、小さな祈る人形(焼き物)がありました。


遍路道



祈るお人形

春らしい草花(後述します)なども見られ、急坂、5.9キロは息も弾んだけれど、心も弾んで、いつの間にか歩きとおし、2時間半で雲辺寺へ到着です。

随分前に訪れたときの印象は鬱蒼としていたように思いますが、今到着した雲辺寺は、堂宇も殆どが新しく、明るくひらけています。

頂上の「毘沙門天・展望館」、「ロープウェイ」「スキーリフト」「パラグライダー」。



眼下には瀬戸内海、遠くには四国の山々が見渡せる927メートルの雲辺寺山は、徳島県立自然公園として整備されているのです。

寺領100町歩には杉・檜・樅・栂などの巨木が茂り、標高900メートル余り、88ヵ所中一番高いところにあるという雲辺寺は、四国高野と呼ばれ、学問道場であったとか。


雲辺寺本堂下の道路



雲辺寺大師堂


開基は789年と古く、連綿と法灯は続いていたが、1575年、土佐の長宗我部元親がこの地に登り、四国制覇の野望を語った際に、当時の住職は「それは茶釜の蓋で水桶に蓋をしようとするもの」と諌めたが、元親は「兵法のことを僧は知らず」として兵火を拡大し、雲辺寺も消失したという。(「四国軍記」)


後年、阿波藩主・蜂須賀家の保護を得て再建されたとのことです。

平成10年より中国福建省から五百羅漢の石像を輸入、ロープウェイ駅から本堂へ至るあちこちに配置されています。

喜怒哀楽さまざまの羅漢さんたち一人ひとりと対面してみるのも面白いかもしれません。


春霞の瀬戸内海



お釈迦様の手の座り心地は・・


五百羅漢



さて、一行は本堂で、続いて大師堂で勤行を済ませたのち、ロープウェイで運ばれてきたお弁当をいただきます。


山頂の毘沙門天・展望館は工事中で入れませんでした。

ロープウェイ駅付近の広場から見わたせる豊浜方面の市街と瀬戸内海は、少し春霞がかかっていました。


あの山の上から歩いてきました



初めての人も一休みです


午後は五百羅漢を横目に、大興寺へ向かって山を下りていきます。

標高差750メートルを4.6キロで下るのですが、草花を見ながらかなりゆっくりと歩き、1時間40分で車道へ。



道沿いには、苔むし、かなり風化が進んだ遍路墓がたくさんありました。

行き倒れの遍路も手厚く葬った土地柄なのでしょう。

舗装路を5.2キロ、1時間半、16時30分という閉門ぎりぎりに、67番・大興寺へ着きました。


大興寺山門



鎌倉時代から「阿」


長い年月を「吽」



榧の巨木


楠の巨木


山門の仁王さんは鎌倉時代の作だそうで、迫力満点!

弘法大師お手植えといわれる、1200年もの榧(かや)や楠(くす)の巨木もあります。



大興寺の手水場は、重い手水鉢を邪鬼が頭に載せています。


邪鬼のおかげで水を汲ませていただける・・・なんとも不思議な感慨です。

お勤めをすませて15時、退出。

「萩の湯」で疲れた足をゆっくり暖め、帰途につきました。


大興寺大師堂



瀬戸の夕焼け


今回から高松道になり、久しぶりにSAでの休憩です。


豊浜SAで夕食をかきこんで外へ出ると、美しい「瀬戸の夕焼け」が見られました。



ところで、今回の道中、たくさんの春の花に逢うことができました。


山野草観察会以上の収穫では?と思います。

たくさんですので、まとめて並べてみました。


ギンラン


クリンソウ



アオテンナンショウ


コゴメマンネングサ


コシロノセンダングサ



アメリカフウロ


ギンリョウソウ



ジシバリ


タニギキョウ


シャクナゲ



スイカズラ


チゴユリ



ツクバネウツギ


ツチグリ


ニョイスミレ



ナツトウダイ


ナルコユリ



ヒナギキョウ


ホウチャクソウ


マルバウツギ



コミヤマカタバミ


ミヤマハコベ


ヤマルリソウ



センボンヤリ


ミヤコワスレ



次回は5月25日、大興寺〜68番・神恵院〜69番・観音寺〜70番・本山寺です。
 

       娘遍路

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