遍路紀行

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遍路紀行その63 道隆寺〜78番郷照寺〜79番天皇寺〜鴨川駅東
(H19.9.7)


うれしい緑陰


超スローな台風9号が関東方面にあって、6日の高知は、9月としては記録的な猛暑日となりました。

7日も朝から気温がぐんぐん上がりましたが、暑い夏休みをそれぞれに過ごし、2ヶ月ぶりに元気な顔がにぎやかに集まりました。


道隆寺



きつい日差しです


9時半、先ずは道隆寺に、久しぶりのお参りをしてから歩き始めました。


厳しい秋の日差しを受けて、舗装路にくっきりと影を落としながら歩いていると、猛暑に炒り上げられた2年前の9月2日の第28回遍路行(高知県・横浪三里)が思い出されます。



あの時は「オーブンの中で焼かれている」ような暑さでした。

で、今回は、「乾式サウナの中」というところでしょうか、高知とは違って、空気が乾いてジメジメしていません。


うちわ型の遍路休憩所



左は商店街

丸亀市内へ入ると、道路わきに特産「うちわ」をかたどった遍路休憩所がありました。

が、うちわを味わい、丸亀に想いを致すゆとりもなく、どんどん歩いていきました。

丸亀市の中心街の大通りでは、左手に商店街、右手に丸亀城が見えました。

のどかな田舎道と違って、少し行けば信号、また信号。



土器川を渡る



道隆寺から6キロ、1時間半で宇多津まで来ました。

ここで昼食休憩です。


右は丸亀城



五円玉のお城


この時は、なによりも「冷たさ」が欲しいという状態で、レストランの冷たい飲み物で、ようやく一息つきました。


食欲のない人もいましたが、休憩後は全員、次へと歩を進めました。

五円玉で作ったお城や鳳凰を飾っている家の前を過ぎ、アーケード街を通り抜け、地蔵もちを買い、1,3キロ、20分で78番・郷照寺の山門です。


山門横では「大吉地蔵」が迎えてくれました。

山門をくぐり、石段を上がると真正面が客殿、右手に本堂があります。

お四国・88ヵ所は、弘法大師との結びつきが強く、真言宗の寺が多いのですが、他の宗派のところもあります。

郷照寺は、一遍上人が来錫、踊り念仏する念仏道場となって時宗に改宗し、88ヵ所中唯一の時宗、そして厄除けの寺として知られています。


地蔵もちに群がる



郷照寺本堂


本堂の右手には「さぬきの三大ポックリさま」が神妙に座っておられ、その前には「撫で仏さま」、裏に回れば、瀬戸大橋がすぐそこに見えました。



撫で仏さま


さぬき三大ポックリさま



本堂左の石段を上れば大師堂。

大師堂前の通路には屋根があり、その天井にはたくさんの美しい絵が施されていました。

庭は清掃が行き届き、丸く刈り込まれたたくさんのツツジやサツキがありました。


春には見事に咲き揃うことでしょう。


大師堂前、通路の天井絵



大師堂


また客殿の裏には廻廊形式の美しい庭園があり、日本一大きいホルトノキが根を張っているとか。

それらは、訪れる遍路をもてなそうというお寺さんの心遣いかもしれないのに、どれも目にすることなく退出したのは心残りです。

郷照寺から次へと進みます。



鉄道高架橋の下へ来ると、長々と連結した貨物列車に遭遇。

高知では久しくこんなに長い貨物列車を見ていないように思います。地域経済の活況度の違いでしょうか。

それにしても、この暑さは!


用意してきたお茶は空っぽ、高架橋下の少しの陰が何とありがたく思えたことか。


郷照寺からみた瀬戸大橋



高架橋を行く貨物列車


ほどなく来合わせた公園の藤棚の緑陰で10分ほど休憩。

さらに歩きます。

「もうちょっとやけん 頑張りまい」の看板に励まされ、かき氷で喉を冷やす人もいて、6.3キロを2時間かけてようやく79番・天皇寺へ到着しました。


天皇寺は、保元の乱で讃岐に流された崇徳上皇が埋葬された白峰山の白峰神社の別当寺とされたとか、現在は、崇徳上皇を祀る白峰神社と同じ境内に同居しています。

勤行を済ませ、がっくりと疲れが出てからの、バスの待つ鴨川駅東までの3.8キロ、1時間の遠かったこと。


「もうちょっとやけん 頑張りまい」


白峰神社の大木
 



天皇寺大師堂

それでもほぼ定刻に歩き終え、五色台中腹の城山(きやま)温泉で汗を流し、なんとか無事に遍路をこなして帰ってきました。


今回は、猛暑だったとはいえ、お国柄を味わうゆとりもなくせかせかと歩き急いだ遍路だったことを少し残念に思っています。


次回は9月21日、鴨川駅東〜80国分寺〜81白峰寺〜82根香寺です。

         娘遍路

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