遍路紀行

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遍路紀行その64 鴨川駅東〜80番国分寺〜81番白峯寺〜82番根香寺
(H19.9.21)


根香寺の萩



梵鐘

残暑の厳しいことは相変わらずですが、嬉しいことに今日は曇り空。

刺し通すような直射日光がないのはありがたいことです。

9時10分、鴨川駅東の国道11号を国分寺へ向けて出発、20分ほどで左へ。

田んぼや畑のそばのセンニンソウ・アキノノゲシ・タゴボウなどの野草を見ながら、3.1キロ、40分ほどで80番国分寺(こくぶんじ)へ着きました。



センニンソウ


アキノノゲシ


タゴボウ



山門をくぐると広い境内にたくさんの松が植えられ、88ヵ所の本尊石仏が並んでいます。


松の間には、創建当時の金堂跡や七重塔跡の大きな礎石が往古のままに何十個と並び、1200年に及ぶ古い歴史を偲ぶことができます。

また、当寺の銅鐘は奈良時代に鋳造された四国最古のもので、伝説・実説といわくのある梵鐘です。


伝説:近くの百々淵に棲んでいた大蛇がこの鐘に身を隠していたが、弓の名人・戸次八郎の射た矢の威力に驚き、逃げ去ったという。


国分寺境内 正面が本堂
両脇に88ヵ所の本尊石仏



金堂跡の大きな礎石


実説:慶長4年、当時の高松藩主・生駒一正公が、朝夕の時鐘にと田1町を寄進して城内に持ち帰ったところ、鐘は鳴らず、城内外に怪異が起り悪疫が流行り、病床の一正公の夢枕にたって「もとの国分へいぬいぬ(帰る帰る)」と泣いたので、ふた月足らずで元の国分寺へ返されてきたという。



さて、山門正面の本堂でお参りし、大師堂へ行く途中には竜の形の「御衣木(みそぎ)」という枯れ木や「良縁えんむすび」の神様の鳥居もありました。

大師堂は納経所の中の奥まったところでした。


本堂



良縁えんむすび


見所いっぱいの国分寺を後にし、いよいよ五色台の山へ入っていきます。


あたりの田んぼはもう秋。

実って頭を垂れる稲穂はいつ見ても美しいですが、その中に、少し黒っぽい古代米らしい稲穂が混ざっていました。



実りの秋を行く


古代米が混ざる田



遍路ころがしの急登

やがて、「遍路ころがし」といわれる急坂になりましたが、山道ならではの秋の草花たちに出あうことができました。

キキョウ・ヒヨドリバナ・アキカラマツ・オトギリソウ・ネコハギ、アキノタムラソウ・シロヨメナ・サジガンクビソウ・ワレモコウ・キンミズヒキ・・色づいたアケビもありました。

キキョウ

ヒヨドリバナ


ネコハギ


アキノタムラソウ


オトギリソウ


アキカラマツ


ワレモコウ


キンミズヒキ


シロヨメナ


サジガンクビソウ


アケビ


汗びっしょりにはなったけれど、急坂も登りきって、いつのまにか一本松。

尾根を走る「五色台スカイライン」へ出たのでした。

国分寺から3.6キロ、1時間20分。そこから古田まで1.9キロ、30分ほど車道を歩いて、昼食場所の「かんぽの宿坂出」までバス移動。


かんぽの宿から見た瀬戸の海



ヒガンバナ見〜つけた

おいしいお弁当を食べて外へ出ると、坂出の街や瀬戸の海、瀬戸大橋が一望できました。

午後は古田から赤松林を眺めながら車道を少し進み、右手の遍路道へ入りました。

下り坂になると速度が上がる人達に付いていきかねて(重力がもろに脛へくるのです)、いつもの山野草観察を始めます。

ヒガンバナ・ヤブマメ・ツルリンドウ・アメリカセンダングサ・イヌホウズキ・・・



ヤブマメ


ツルリンドウ



アメリカセンダングサ


イヌホウズキ



途中、摩尼輪塔(まにりんとう)があり、下に「下乗」と彫られていました。

厳しい遍路道も聖地が近づいたから、ここからはなんびとも乗り物に頼らず自分で歩いて参拝しなさい、ということだそうです。(古田から1.2キロ、20分。)


白峯寺山門



大師堂


ということで、81番・白峯寺(しろみねじ)はすぐそこで、一行のお勤めは始まっていました。


白峯寺は保元の乱で讃岐に配流、崩御された崇徳上皇を祀ってあり、今回見ることはできませんでしたが、上皇の菩提のために建てられた十三重の石塔(鎌倉時代のもの)があるそうです。



苔むした十九丁の丁石

白峯寺からは鬱蒼とした林の中の遍路道を2.7キロで「十九丁」、ここで一休み。

一丁は100M強ですから、ここから次の札所までおよそ1.9キロです。

黙々と林の中を歩き、車道へ出てさらに進み、白峯寺から4.6キロ、50分で82番・根香寺(ねごろじ)へ着きました。


林の中の遍路道



山門を降りてからの石畳


大草鞋の根香寺山門


大きな草鞋を吊り下げた山門をくぐると下り石段、平坦な石畳、そしてまた登りの石段。

青々と茂る楓が色づく頃の景観を想像しながら上がりきると、大きな紅白の萩の花が出迎えてくれました。



本堂が見えてもすぐには入れません。左側の万体観音(33,333体あるとか)堂の薄暗い廻廊を進んで本堂廊下へ出、そこから庭に降りてお勤めをしました。


万体観音堂の薄暗い廻廊



根香寺本堂

酷暑の続く今年の9月ですが、根香寺の咲き零れる萩の花に秋たけなわの感をいただき、上り下りの多かった今日の遍路を終え、「ほっこり温泉・神様の湯」で汗を流して帰途につきました。


次回は、10月5日、根香寺〜83番一宮寺〜栗林公園までです。


         娘遍路

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