遍路紀行

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遍路紀行 その28 竜海岸〜36番青龍寺〜横波三里 (H17.9.2)



横浪三里を行く



草深い遍路道

いやはや暑い夏でした。
春以来の少雨で、四国はどこもかしこもカラッカラ。

娘達のお肌はじっとしていても噴出してくる汗でじっとりと濡れていましたが、四国の命「早明浦ダム」は8月19日、ついに貯水率ゼロ%に、9月1日には2度目のゼロ%になってしまいました。

「四国はひとつ、香川へ、愛媛へ水を供給しよう」と水没地区へ説いて回った方達は、貯水率ゼロ%になることを想定したことがあったでしょうか。



アカバナ

父祖達の長い歴史を水没させなければならなかった無念の象徴・旧大川村役場が、泥が堆積したダム湖から姿を現したとき、「干上がったダム湖を観光に来た人たち」が残していったゴミを、ダム建設以来激減し500人余りとなった大川村の方達はどんな思いで片付けたことでしょう。


山門(屋根が見えます)への石段




え?また石段ですか?(本堂が見えます)

あらららら、ごめんなさい、この夏、何度も土佐町や大川村へ行っているうちに、つい、準大川村村民気分になっていました。

さて、7〜8月の夏休みが終わり、9月2日、久しぶりの遍路行きです。

みんな元気のようで挨拶も弾みます。


センニンソウ



9時50分、竜海岸駐車場へ到着。


ムッとするような暑さの中を歩き始め、1キロ足らず、10分少々で36番青龍寺へ到着です。

で、早速の試練。

社務所からはきつい石段。やっと山門まで上がったら、またしても、のけぞるような石段が・・・。


本堂




西国33観音像

すでにお参りを済ませて降りてくる人が「上を見たら遠い、足元ばかり見てあがりなさい」と言ってくれました。

なるほど、足元には一段しかありませんものね。

長い石段を上がりきると本堂・大師堂・薬師堂・西国33ヵ所地蔵などが整然と建っています。

ここのご本尊は波切不動明王、船の安全を守ったとの伝説があり、海に生きる人々の厚い信仰を受けてきたそうです。




ヒレタゴボウ


ホテイアオイ


ヤブツルアズキ



お参りの後、長い石段を降りるとき、両脇にはたくさんのお地蔵さんがいることに気づきました。

遍路道には、六地蔵や、センニンソウ、アカバナ、ホテイアオイ、タゴボウなどがさりげなくそこここに咲いていて、私達を和ませてくれます。


六地蔵



浜辺で貝を採る人たち


穏やかな宇佐湾内を行きかう漁船や、浜辺で潮干狩りをしている人たちを見下ろしながら宇佐大橋を渡り、青龍寺から3キロ足らず、40分ほど歩いたところで、11時過ぎ、少し早い昼食に向かいます。

「うまい」と評判の食事処「太公望」での食事は、新鮮な魚の刺身や鯛の煮物など、それはそれは美味しかったこと。



食後のスモールコーヒーも付いていて娘達は大感激!



漁船も貝採りでしょうか


仲良し二人は手描きの白衣です



凪いだ湾内は水がきれい


12時20分、午後からは、横浪三里・12,6キロをひたすら歩きます。


くねくねと続く海沿いの道。

容赦ない残暑の日差しと、木陰のない舗装路の照り返しと、ねっとりとした海からの熱風。

「オーブンの中で焼かれている」ような感じで、アッチッチでした。



季節を飾った遍路笠の花もあっという間に萎れてしまいました。

それでも、凪いだ海はきれいでしたし、道沿いでは、ハイビスカス、ハマナデシコ、カエデドコロ、ヘクソカズラなどいろんな花たちに出会いました。

ポンカンの産地・立目を通り、休憩など気分転換しながら予定地までを3時間半ほどで歩き通すことができました。


それにしても暑いこと



花笠の花も萎れて


立目はポンカンの産地



萩の花に見守られているのに気づいていました?


高知は東西に長い地形で札所は少なく、36番〜37番は60キロ近く、37番〜38番は100キロ以上も離れています。


今年いっぱいは「修行の道場」。

「修業の気構え」が問われているということかもしれません。

これから、次第に涼しくなっていくだろう中を、季節を楽しみながら、皆さんと一緒に歩けることはうれしいですね。


豆知識(菅笠の文字 その4)

何処有南北
我執を捨て去れば苦悩はなくなり人生は広くて楽しいものとなります。


ハマナデシコ


ハイビスカス


カエデドコロ



ヘクソカズラ



次回の予定は、9月16日(金)横浪〜焼坂です。



            娘遍路


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