高知の祭り

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川奥の花取り踊り 高知県四万十町(旧窪川町) (H19.9.9)


花取り踊り



中央が川奥地区の集会所


高知県西部に位置する四万十町は、清流・四万十川の中流域で、町の中央部を四万十川が蛇行し、町の東部域(合併前の窪川町)は標高230mの台地に豊かな農地が広がっています。

四万十の清らかな水と、台地特有の朝晩の温度差が大きいことや霧の発生などがいいのでしょうか、ここで生産されるお米(仁井田米)は大層おいしいと評判です。



さて、今回は、四万十町の東部、庁舎がある窪川の町から、四万十川沿いに松葉川温泉方面へ7〜8キロほど北上し、川奥をお訪ねしました。

川奥地区に400年も続いている花取り踊りは、田畑を荒らすイノシシなど山の獣達を鎮めるために始まったと伝えられています。
(川奥の花取り踊りは高知県の無形民族文化財に指定されています。)


神様はこの上に



各戸から持ち寄り吊るした幣


前夜、各戸が山の神様へ至る道の随所で松明を焚くので、それはきれいだそうです。

当日はあちこちに燃えた跡が残っていましたが、前夜に焚かなかった家からは、当日持ってきて焚くこともあるとかで、この日もいくつかの松明が焚かれていました。



正午頃、神事のために山の大山祇神社へあがって行きました。


山を削って造ったような、余り広くない境内の正面に小さな神殿があって、地区の人々が次々とお参りをしたあと、神殿前で踊りが始まりました。


小さい神殿にお参り



境内でひと踊り


衣装はつけず、太刀の代わりに木の棒を持って、太鼓に合わせて踊ります。

踊りは10分ほどで終わり、山を下りました。



ところで、なんとなく気になっていたのがこのあたりの「稲」です。

農業者じゃない私の単なる感じなのですが、県中央部の香長平野で見慣れているものよりも、随分草丈が長くて丈夫そうだし、分結の数は少ないようだけれど、一本一本についている米粒が多い感じです。


香り米



普通の米


畦でしゃがみこんでアゼムシロや、オモダカの花を見ていると、背後から声が。


「何があるぜよ(何がありますか)?」

「稲がいつも見慣れたものとどこか違うようで・・」

と、感じたことを話してみると

「これは香り米じゃ、米の先の毛が長いろう(長いでしょう)?」

そうでした。
窪川は「香り米」でも有名だったのです。



こんなにきれいな水が流れています



踊りが始まるまで時間があるので、山の方へ行ってみると、


ツリフネソウやミズタマソウなどいろんな野草があり、結構楽しめました。


オモダカ


ミズタマソウ



アゼムシロ


ツリフネソウ



花取り踊り



休憩中 右は集会所


集会所前での踊りは2時頃からはじめられました。

路上に莚10枚が放射状に敷かれ、太鼓2名、太刀7名。

莚が一枚余っているのが気になりました。

(太刀は大太刀、小太刀が対になるので欠員があるということらしい)

衣装といえば幅広のきれいなタスキを背中で結んでいるだけの簡単衣装。



以前見た写真では、白い着物に黒いはかま、タスキを結び、頭には山鳥の羽の被り物をしていましたが、「山鳥があんまりおらんようになって・・」とのこと。

80歳になるという太鼓の長老が、いくつかある演目の踊り方などを細かく書いたノートを見ながら進められ、およそ1時間で終わりました。


手描きのノートで次の演目の確認



カーブミラーに映っています


「昔は子供が30人もおって、家の跡取りしか踊れなかった。今では子供が減って、あとを継いでやる者が居らん・・・・・」

過疎地での伝統文化の継承はどことも同じように、「人と物」の悩みを抱えています。

が、自治体によっては、伝統文化の継承に人・物を出して支えているところもあります。



川奥地区の方たちには、みんなで支えあう団結心があるので、なんとか伝統を守り継いで欲しいと願わずにはいられません。


のどかな所です



見合って、見合って


さて、踊りが終わったし、折角ここまで来たのだから、四国でも有数の泉質といわれる「松葉川温泉」へ行こうと道を尋ねたら、親切に教えてくれました。

「でも、これから子供相撲がはじまるぞね。かわいらしいき、見ていっちゃってや」

と、薦められたのですが、まあ!本当に可愛かったこと!



逃げないで相撲取ろうよ


力が伯仲



年齢制限は就学前まででしょうか、オムツをしている小さな子もいて、勝っても負けても、行司のおじさんから、軍配代わりの団扇に載せた賞金の百円玉2〜3個を貰っていました。


勝負あり



勝っても負けても賞金です


松葉川温泉(川奥から6〜7キロ)

四万十川の源流、日野地川の渓谷に湧く温泉(冷泉)で、露天風呂から渓谷を眺め、せせらぎを聞きながら湯ったりしたひと時は、なかなか結構なものでした。


             

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